プラチナNISA制度設立における検討事項
目次
- 1. プラチナNISA制度の設立について
- 2. 毎月分配型投資信託の状況
- 3. その他の論点
- 4. まとめ
要約
- 4月中旬に高齢者に向けたNISA制度(以下プラチナNISA)の設立検討報道がなされた。報道ベースでは、65歳以上を対象とし、毎月分配型投資信託を組み入れ対象とすることなどが大きく取り扱われている。
- わが国においては、60歳以上の世代が金融資産の6割以上を保有している状況であるが(2019年)、一方で平均的な65歳以上夫婦のみ無職世帯の家計収支は毎月収入不足になっており、金融資産の取り崩しニーズが発生している。
- 毎月分配型投資信託の問題点としては、①商品特性上の問題と②投資家のリテラシー不足がある。前者に関しては資産形成がある程度完了し、取り崩しニーズがメインとなった高齢者にはむしろ適合する可能性がある。後者の分配金に関する知識不足は、高齢者に限らず、全世代にわたってみられる問題であり、製販一体となって投資家のリテラシー向上に取り組む必要がある。
- その他の論点としては、①認知・判断能力の低下への対応、②相続への対応が挙げられる。前者に関しては家族サポート証券口座との連携が考えられる。後者に関しては配偶者やパートナーが引継ぎ可能な英国ISA制度が参考になろう。