年金制度の改革法案:
私的年金制度の検討事項について
目次
- 1. 年金制度改革法案について
- 2. 私的年金制度の状況及び改正内容について
- 3. 終わりに
要約
- 6月13日に年金制度改革法案が成立した。本法案の目的は「働き方や男女の差等に中立的で、ライフスタイルや家族構成の多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再配分の強化や私的年金制度の拡充等により、高齢期における生活の安定を図る」とされている。
- 主な改正項目は、①社会保険の適用拡大、②在職老齢年金制度の見直し、③遺族年金制度の見直し、④厚生年金の標準報酬月額上限の引き上げ、⑤将来の基礎年金の給付水準の底上げ、⑥私的年金制度の拡充である。本稿では、このうち「私的年金制度の拡充」について特に内容を検討する。
- 企業型DCではマッチング拠出において、事業主拠出額を上限とする限度額の撤廃、iDeCoでは加入年齢枠の上限引き上げが行われる。いずれの施策も、一定の加入金額及び加入者増の効果をもたらすことが期待される。
- 「年金の見える化」に関しては、企業年金の横比較ができるように開示が強化される見込みである。将来的には各人の年金にかかる情報を一元的に把握できる「年金ダッシュボード」のような仕組みの創設が待たれる。