分散投資ってなに?分散投資に大事なリバランスとは?

「分散投資」とは、1つの投資先ではなく、複数の異なる資産に投資を行なうことや、投資タイミングを分けて投資することなどを指します。また、ただ分散をするのではなく、値動きの異なる複数の投資対象に投資をすることで、投資のリスクを抑えることが期待できます。分散投資が手軽にできる投資信託の中でも「バランスファンド」はより幅広い投資対象に分散した商品ですので、分散投資を理解するためにバランスファンドがどのように運用されているのかご紹介します。

分散投資とは?分散投資の効果

「分散投資」とは、複数の異なる資産に投資を行なうことや、投資タイミングを分けて投資することなどを指しますが、分散の対象は様々です。

①資産の分散
株式や債券、リートなど特性の異なる複数の資産を組み合わせる。
たとえば金利が上昇した時に、それが上昇要因になる資産もあれば下落要因になる資産もあるので、異なる値動きをする資産を組み合わせることで、リスクを低減させる効果が期待できます。

資産の分散の図

②国・地域の分散
複数の国・地域や通貨を組み合わせる。
先進国や新興国など国によって経済成長率やカントリーリスクなどが異なるため、組み合わせることによって、一国のリスクに偏ることを防ぐことができます。また、異なる値動きをする通貨に分散することで為替変動の影響を抑える効果も期待できます。

国・地域の分散の図

③銘柄の分散
値動きの異なる銘柄を組み合わせる。
株式という同じ資産クラスであっても、それぞれの会社の株価の値動きは異なりますので、異なる値動きをする銘柄を組み合わせることで、リスクを低減させる効果が期待できます。
たとえば景気が良くなる時に上昇しやすい景気に敏感な銘柄や、景気の動向に影響を受けにくい銘柄(ディフェンシブ銘柄)などがあります。景気敏感銘柄の一例としては鉄鋼などの素材関連や自動車関連の株式などがあり、ディフェンシブ銘柄の一例としては食料品や医薬品関連の株式などが挙げられます。

銘柄の分散の図

上記はイメージ図であり、全てを説明しているものではありません。

では、具体的に値動きが異なる資産とはどのようなものなのでしょうか。
下図は国内外の株式や債券など8つの資産と、その8つの資産へ均等に投資した場合の合成指数※1において、過去15年間の年間リターンランキングを示しています。資産ごとに異なる色を付けていますが、各資産のリターンランキングは毎年大きく入れ替わっていることが分かります。この中で、たとえばピンク色の国内債券が低順位の年は水色の外国株式は高順位になる傾向があり、値動きが異なる資産の一例としてイメージがわきやすいのではないでしょうか。
次に、赤色で示された8つの資産へ均等に投資した合成指数については、毎年真ん中あたりの順位で推移していることが分かります。リターンについても、単一資産に比べて大きなプラスやマイナスになりにくくなっていること、つまり振れ幅が小さいことが見て取れます。

8つの資産と合成指数※1の年間リターンランキング
(2009年~2023年)

8つの資産と合成指数の年間リターンランキング(2009年~2023年)の図

※1合成指数の値は8つの資産を1/8ずつの割合で、各資産の月間リターンを基に毎月リバランス(相場変動などにより変化した投資比率を調整し、1/8ずつの割合を維持)を行なったものとして、野村アセットマネジメントが独自に計算したものです。各資産の算出に用いた市場指数については、コラム末尾をご参照ください。税金・手数料などは考慮しておりません。グラフは過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)ブルームバーグ等のデータを基に野村アセットマネジメント作成

このように、分散投資の魅力は大きく負けにくいことが挙げられます。では、大きく負けないことはなぜ大事なのでしょうか。
下図は100万円を投資し、5年間にわたって毎年運用した結果をシミュレーションしたものです。A資産は10~20%の収益と損失を繰り返して、5年目に10%の収益を得て終わり、B資産は毎年1~2%の収益を出していたと仮定します。5年間運用した後、もしかしたらA資産を持ち続けていた人は「かなり変動したけれど、結局儲かったな」と嬉しい気持ちになるかもしれませんが、運用結果はB資産の方が好成績となりました。リスクが大きい資産を保有するということは大きく利益が出ることもあれば、大きく損をすることもあるということです。A資産のように上下に変動が大きいことは資産形成を行なうにあたり、場合によっては逆効果となってしまう可能性があることには注意が必要です。投資において利益が利益を生むという仕組みを活用するためには、「負けない運用を目指し、負けたとしても大きく負けない」という考え方が重要になります。

100万円を投資し、5年間運用したシミュレーション

運用開始 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
A資産 年間の騰落率 10% -10% 20% -20% 10%
資産価格 100.0万円 110.0万円 99.0万円 118.8万円 95.0万円 104.5万円
B資産 年間の騰落率 1% 2% 1% 2% 1%
資産価格 100.0万円 101.0万円 103.0万円 104.1万円 106.1万円 107.2万円

資産価格は小数点第2位を四捨五入しています。(作成)野村アセットマネジメント

将来使う予定があるお金は、リスクの大きさで心理的な負担が大きくならないように、資産を守りながら成長させていきたいと考える方が多いのではないでしょうか。
下図の合成指数のように、分散投資をすると、外国株式と比べてリターンは見劣りするかもしれませんが、値下がりの幅を抑えながら資産を成長させる効果が期待できそうです。

合成指数※1と外国株式の過去のリターンの推移

合成指数と外国株式の過去のリターンの推移の図

2008年12月末を100として累積リターンを指数化

(期間)2008年12月末~2023年12月末、月次

※1合成指数の値は8つの資産を1/8ずつの割合で、各資産の月間リターンを基に毎月リバランス(相場変動などにより変化した投資比率を調整し、1/8ずつの割合を維持)を行なったものとして、野村アセットマネジメントが独自に計算したものです。各資産の算出に用いた市場指数については、コラム末尾をご参照ください。税金・手数料などは考慮しておりません。グラフは過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)ブルームバーグ等のデータを基に野村アセットマネジメント作成

分散投資って簡単にできるの?

一般的に投資に慣れていない方が、自分自身の判断で様々な投資対象に分散投資を行なうことは難しいといわれています。その理由として、複数の投資対象に対する分析を自分自身で行なう必要があること、複数の投資対象を購入するためには多額の資金が必要となることなどが挙げられます。
一方で、初心者でも少額から効率良く分散投資を行なうことができるのが投資信託での運用です。

投資信託は、複数の投資家から資金を集めて、運用の専門家が債券や株式などに投資・運用する金融商品です。

投資信託の主な特徴
①1万円程度の資金から投資が可能
②多くの資産に分散投資が可能
③資産運用の専門家が投資家に代わって運用

投資信託のしくみ

投資信託のしくみの図

上記はイメージ図であり、全てを説明しているものではありません。(作成)野村アセットマネジメント

投資信託の投資対象は様々ですが、たとえば、株式だけを投資対象としたものもあれば、債券だけを投資対象としたものもありますが、1つの投資信託ごとに複数の銘柄に分散投資されています。さらに単一資産の投資信託を複数組み合わせたり入れ替えたりすることでご自身のオリジナルの配分の分散投資を行なうこともできます。※2

※2手数料等のコスト負担が必要となります。

<複数の投資信託の組み合わせの一例>

・分散投資はしつつも、安全性を重視したい方
・安定した利回りを期待したい方    など

リスクを抑えるため、国内債券の比率を高くし、その他の資産の比率を小さくする。

複数の投資信託の組み合わせの一例の図1

・価格の振れ幅が大きくなっても大きなリターンを狙っていきたい方など

ハイリスク・ハイリターンの資産を中心に保有する。

複数の投資信託の組み合わせの一例の図2

上記はイメージ図です。資産運用の一例であり、全てを説明しているものではありません。

分散投資に大事なリバランスとは?

投資信託をバランス良く保有した場合でも、そのままほったらかしておいて良いというわけではありません。そこで重要になってくるのがリバランスです。
リバランスとは、複数の投資対象に分散投資を行なう際に、相場の変動などにより変化した投資配分比率の見直しを行なうことです。投資している資産は常に価格が上下し、投資開始時は均等の配分で投資をしていたとしても、値上がりしている資産の比率が上がって、値下がりしている資産の比率が下がってしまいます。値上がりしている資産を売却して利益確定を行ない、値下がりしている資産を買い増すというメンテナンスを行なうことによって、投資において重要な「安い時に買って高い時に売る」という行為を、リバランスのタイミングで機械的に行なうことができます。

株式が値上がりした場合のリバランスの例

株式が値上がりした場合のリバランスの例の図

上記はイメージ図です。リバランスの考え方の一例であり、全てを網羅しているものではありません。

上述の通り、簡単に分散投資ができるのが投資信託の魅力ですが、組み合わせ方法は様々です。1つのファンドで、資産、国・地域、銘柄などの分散投資を行なう投資信託もあり、これをバランスファンドといいます。バランスファンドは複数の資産に分散投資ができ、各資産の値動きに応じてファンドの中でリバランスを行なうなど、資産運用の専門家に管理を継続して任せることができます。「何にどのように投資すれば良いか分からない」「仕事や子育てなどで忙しくて時間がない」「長期で継続的に保有したい」という方に適している投資信託の1つがバランスファンドです。

バランスファンドの種類

バランスファンドと一言でいっても投資スタイルは商品によって様々です。
大きく分けると2つあります。

投資配分比率を固定するファンド

投資スタイルやリスク許容度に合わせた投資配分比率を決めて、その比率を維持していくバランスファンドです。ご自身で単一資産のファンドを複数組み合わせて保有する場合との違いは、リバランスを専門家が担ってくれる点です。初心者では難しい売買のタイミングを気にすることなく、専門家がファンド内で定期的にリバランスを行ない、最初に決めた投資配分比率を維持してくれるのです。

投資配分比率を投資環境の変化に応じて変更するファンド

投資環境の変化に対応して資産配分を変更するバランスファンドもあります。経済情勢や市況の見通しなどに応じて、投資配分比率の見直しをファンド内で機動的に行ないます。ご自身で一度選択してしまえば投資環境の変化などを気にすることなく、ライフスタイルの変化などで投資方針が変わらない間は長期的に専門家に任せられることが魅力です。

投資環境の変化に対応して資産配分を変更するバランスファンドのイメージ

投資環境の変化に対応して資産配分を変更するバランスファンドのイメージの図

上記はイメージ図です。資産運用の一例であり、全てを網羅しているものではありません。

資産運用の専門家が行なう分散投資の一例

分散投資といった時に具体的に何銘柄くらいに投資をしているのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。投資信託によって構成銘柄数は様々ですが、中には下図のように約6,700銘柄に分散している投資信託もあります。

投資配分比率を固定するファンドの構成内容の一例
基本投資割合と各資産の組入銘柄数

投資配分比率を固定するファンドの構成内容の一例 基本投資割合と各資産の組入銘柄数の図

2024年3月末現在。

上記は「世界6資産分散ファンド」のケースを一例として記載しております。記載されている投資信託の基本投資割合等は参考情報を提供することを目的としており、売買などの推奨、また基準価額などの上昇や下落を示唆するものではありません。当ファンドに関する「投資リスク、費用」についてはコラム末尾をご参照ください。

初心者の方でも上手に分散投資を行なうコツは、自分に合ったバランスファンドを見つけて、長期で投資することです。バランスファンドの中でも、比較的値動きの大きな資産(株式など)と、比較的値動きの小さな資産(債券など)をどのような比率で組み入れているかによって、ファンド毎に基準価額の動き方は異なります。どのような資産にどのような配分比率で投資しているのかなどの情報は商品の投資信託説明書(交付目論見書)に記載されていますので、投資対象・投資方針をしっかり把握した上で商品選択を行なうことが重要です。