お知らせ
衆議院議員選挙の結果を受けて
2024年10月28日
【日本株式の見通し】
10月27日の衆議院選挙では、自公215議席の獲得に留まり、過半数割れとなりました。自民党非公認での当選議席を若干名加えたとしても大勢に影響はなく、今後の政権運営の舵取りに不透明感が強まる公算が高い結果となりました。
今回の与党の敗因は、石破総裁の政権運営期待の剥落と自民党の裏金問題により自民党の大幅議席減が言われる中、選挙公示後の政党支部への2000万円活動費給付が非公認候補への裏金ではないかとの見方が強まり、2009年の政権交代時に匹敵するような逆風が吹いたことによるものだと考えます。2009年以外は自公体制での政権維持であったため第2次安倍政権以降国政選挙が株式市場に大きな影響を与えることは少なかったですが、今般の選挙に関わる株式市場の動向としては、先週は23日まで11日連続陰線、25日までTOPIXが5日連続安、選挙直前の25日には売買代金が今年最低となるなど、既に自公過半数割れを織り込むような展開となっていました。
昨日の選挙結果を受け、今後の政局の不透明感から28日の株式市場は寄りでは一旦売りで反応したもののすぐに切り返し1%強のプラスで推移しており、自民党苦戦は先週までに相当程度織り込まれていたと言えるような市場の反応となっています。(11時現在)
今後の政権運営に関しては、自公過半数割れの状況下では連立枠組み拡大もしくは自公少数与党の選択肢が考えられますが、自公国連立、自公維連立いずれのケースでも国民民主党、日本維新の会共に景気刺激的な政策を掲げており経済運営面での方向性に大きな変更はないため、市場は早晩落ち着きを取り戻す可能性が高いと考えます。一方で、国民民主玉木代表、維新馬場代表とも政策分野毎の是々非々の対応を行なうことも否定しておらず、政権運営の不透明感が取りざたされるようなこと、あるいは"石破下ろし"の圧力が高くなるなど首班指名で不透明感が増すような展開になれば、上値は重くなると予想します。
一旦衆議院選挙を通過しあく抜け感もある展開となっておりますが、米大統領選挙も控えており市場の方向感は見出しにくいと考えます。当面はイベントをこなしつつ為替動向には留意し、中間決算を精査しながらファンダメンタルズをベースとした銘柄選択を丹念に行ない、パフォーマンスの獲得を目指して参ります。
CIO(日本株アクティブ)
原田 信太郎
【為替・日本国債市場の見通し】
10月27日に実施された衆議院議員選挙の結果は、連立与党(自民党、公明党)の獲得議席数が、過半数を下回る結果となりました。
本日28日午前11時現在、外国為替市場では円相場が1ドル=153円台後半まで下落、円金利は超長期年限中心に金利上昇となっています。
選挙結果を受けた、為替・日本国債市場への見通しについては以下の通りです。
為替相場への影響としては、短期的には円安圧力がかかりやすくなると見ています。連立与党の獲得議席数が過半数に満たなかったことで、自民党は2024年度補正予算及び2025年度予算を可決させるために、野党との連携が必要となります。自民党が連携を模索すると考えられる国民民主党や日本維新の会は、減税などの拡張的な財政政策を唱えていることに鑑みると、今後実施される経済対策は野党の声を一部にせよ取り入れることで拡張的になることが想定されます。今後、拡張的な財政政策が意識されることで、円には下落圧力がかかりやすくなる可能性があります。
予算策定に向けた政治的な動きは円安圧力をもたらすものの、長い目で見れば円は上昇しやすいと考えています。金融政策の観点からは、根強い円安とそれを背景にしたインフレ圧力を受け、日銀が利上げを進めていく姿勢は変わらないと予想しています。政治が不安定化することで、日銀が利上げしにくくなるという思惑が高まる可能性はあるものの、基本的に日銀は金融政策の正常化を進めていくと見ています。今回の選挙結果を受けて大きく円安が進むようなことがあれば、日銀は追加利上げに向けて動いていくと見ています。加えて、FRBをはじめ海外の主要中央銀行が利下げを継続していくことを踏まえると、内外金利差が縮小していくと想定しており、円高に振れやすいと予想しています。
日本国債市場についても、拡張的な財政政策が意識されることで残存期間がより長い債券に相対的に利回り上昇圧力がかり、イールドカーブが一旦はスティープ化しやすいと考えます。しかし、日銀が利上げを実施していくという方針が変わらない中では、基調としては全年限に渡って利回りが緩やかに上昇していくと見ています。
債券戦略委員会委員長
前田 有司
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