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お知らせ

足元の日本株式市場の変動について

2025年04月01日

昨日、331日の日本株市場は、日経平均株価で-4.1%、TOPIX-3.6%と大きく下落しました。

326日に米トランプ大統領が輸入自動車への25%関税賦課の大統領令に署名し、また42日には相互関税の発表も控えています。一連の関税のニュースに関しては、トランプ大統領の得意とする「ディール」の材料として利用され、したがって牽制球の意味を込めて高めの関税賦課等の可能性を匂わすものの、必要に応じて出し入れされるものという認識もされてきました。ただし足元の状況は牽制球の類を超えたアクションになりつつあり、貿易相手国の非関税障壁をも勘案した関税政策に対し、グローバルの成長性鈍化懸念を強めています。また昨日の日本株市場の下落は、先週末の米国市場の下落によるところも大きいと思われますが、先週末に発表された米国PCEコアデフレーターは市場予想を上回り物価上昇の高止まりを示す結果となり、前述の関税の議論と相まって米国の物価上昇、経済減速というスタグフレーション懸念を増大させたと思われます。

昨年8月にも日本株市場は大きな下落を経験していますが、今回の下落の契機は「米国の能動的な政策実行によって発生したもの」と考えると昨年の下落とはその背景がやや異なっています。米国株も関税懸念が本格化した2月の高値から先週末でS&P500指数は10%弱の下落となっていますが、202324年の大幅上昇を勘案すると十分な調整が済んだというにはまだ足りないという見方も出来ます。引き続き関税賦課の動向やそれに伴うインフレ動向、経済減速懸念はくすぶり続ける可能性は高く、当面のファンダメンタルズは不透明な状況が続くことが想定されます。

ただし関税関連のネガティブ材料は足元の株価下落で一定程度織り込み、相互関税が発表される予定の42日以降は短期的には織り込み済みとなる可能性もあります。また日本株のバリュエーションは現在PER14倍、PBR1.3倍と過去10年超のレンジの中では妥当な水準にあり割高感はないとも評価できます。仮に米国経済のハードランディングやそのグローバルへの波及が意識された場合には、日本株のバリュエーションにも一時的な低下の可能性は否定できませんが、関税影響や経済不透明感の一巡が見られる年央以降には株価はそれら不透明要因を織り込み、企業業績とそれに応じたバリュエーションで株価は形成されると考えます。為替水準あるいは新年度業績予想等リスク要因も存在しますが、現時点では2025年度も1桁後半程度の増益を想定しています。不透明な環境においてこそ客観的なファンダメンタルズ分析を継続し、企業改革の進展等の視点も合わせて、パフォーマンスの獲得を目指して参ります。

 

CIO(日本株アクティブ)

原田 信太郎

 

 

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