資産運用ビジネスの本質は、お客様のニーズに対応した商品、最良のパフォーマンスとサービスを提供することであり、野村アセットマネジメント(以下、当社)は、資産運用を託される者として高い倫理観を持ち、お客様からの深い信頼を獲得するとともに健全な運営を指向することにより、資産運用ビジネスを通じて広く社会の発展に貢献します。
当社が目指す社会とは持続可能な豊かな社会、すなわち豊かな自然環境が保全され、多様な価値観を持つ人的資本が活用され、技術革新により経済が発展し、そして人権が尊重され人々がウェル・ビーイングな状態で活躍する社会であり、それはESG(注1)課題が解決されSDGs(注2)が達成された社会です。
当社は、企業がESG課題に係るリスクを適切に管理したうえで、ESG課題の解決を新たなビジネス機会と捉え、適切に経営戦略に反映することが重要であり、これが持続的な企業価値向上と投資リターン拡大に必要不可欠であると認識しています。この認識に基づき、当社は、フィデューシャリー・デューティーを果たすため、責任ある投資家としてESG課題の解決に取り組むとともに、当社においてもESGを重視した事業運営を進めることで、投資の好循環を通じて持続可能な豊かな社会の実現を目指します。
(注1) ESGはEnvironment (環境)、Social (社会)及び(Corporate) Governance (企業統治)の総称。
(注2) SDGsはSustainable Development Goalsの略称で、2015年に国連において採択された、2030年までに世界で達成するべき持続可能な開発目標。
持続的な企業価値の向上のため、企業がリスク及びビジネス機会の観点から取り組むべきESG課題は様々です。事業特性に応じてそれぞれのESG課題の重要性は異なりますが、当社は、多くの企業に共通する特に重要性が高いESG課題として、以下を特定しています。
脱炭素社会への移行に伴うカーボンプライシングや座礁資産化、消費者選好の変化といった移行リスクや温室効果ガスによる異常気象等の物理的リスクに加え、気候変動の緩和や適応に対応するための技術革新や新しい製品・サービス等のビジネス機会は企業価値に大きな影響を与えています。このような気候変動問題に対する世界の共通目標として、2015年に合意されたパリ協定では、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑えるよう努力することが定められており、その達成のためには科学的な根拠に基づき、世界の温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロ(ネットゼロ)にする必要があるとされています。当社は、企業がリスク管理とビジネス機会追求の両面から気候変動問題に取り組むことが持続的な企業価値の向上に必要と考えます。
企業は生物多様性がもたらす恩恵を受けながら、森林や水資源等の自然資本を活用して事業活動を行っています。しかし、人間の活動によってもたらされる海洋・河川・大気・土壌等の汚染、森林破壊といった自然資本の劣化が深刻な問題になっており、開発・乱獲・生息地の減少等により、生物多様性も失われつつあります。当社は、自然資本及び生物多様性に負の影響を与え得る企業が適切なリスク管理に取り組むこと、企業が自然資本及び生物多様性の保全という社会課題の解決においてビジネス機会を追求することが必要と考えます。
企業の事業活動には従業員や地域住民等多くの人々が関わっており、サプライチェーンを含めるとその数はさらに多くなります。これらの人々の人権を侵害することのないよう、企業には適切なリスク管理が求められており、企業の人権デューディリジェンスを義務づける法規制を制定する動きも見られます。当社は、持続的な企業価値向上のためには、人権デューディリジェンスを含む人権リスクの管理に適切に取り組むことが必要と考えます。
企業は、自社の人的資本の価値を伸ばし最大限に引き出すことで、持続的な企業価値向上を実現できます。そのためには、人的資本をジェンダー、国籍、人種、年齢等に捉われず多様な価値観を持つ人材で構成すること、従業員に対して公平に機会を提供すること、多様性と包摂性を受け入れる企業風土を形成すること、そして持続的な企業価値向上に向けた目的意識を経営陣と従業員が共有し一体感を醸成することが必要と考えます。
ウェル・ビーイングとは、すべての人々が幸福を求め、健やかな生活をおくることができる状態であり、ウェル・ビーイングな社会を実現することはSDGsの達成にも繋がります。ウェル・ビーイングな社会は様々な分野で社会課題を解決することで実現されます。具体的には、健康と安全(栄養や医療へのアクセス、健康・衛生・安全管理等)、教育とインテリジェンス(人工知能(AI)や破壊的革新等)、地方創生(金融へのアクセス、コミュニケーション・テクノロジーへのアクセス等)の分野が挙げられます。当社は、これらの社会課題の解決に貢献する製品・サービスの開発・提供は企業にとって重要なビジネス機会であり、持続的な企業価値向上に繋がると考えます。
コーポレートガバナンスとは、企業が公正・透明かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みです。当社は、「透明」の要件は経営陣が説明責任を果たすこと、「公正」の要件は経営陣と株主をはじめとするステークホルダーの利害が一致していることであり、これを満たすことで取締役会から経営陣へ経営の執行に関する権限を適切に委任し、経営陣が「迅速・果断」な意思決定を行うことが可能になると考えます。このような観点から経営陣を監督する機能を担うのが取締役会であり、そのための手段が指名・報酬・監査です。当社は、経営陣が上記のESG課題を含む様々なリスクを適切に管理し、ビジネス機会を追求することによって企業価値を持続的に向上させるため、コーポレートガバナンスの強化が必要と考えます。
当社では、取締役会から権限の委任を受けた経営陣(業務執行取締役および業務執行取締役が選定する執行役員)が経営会議を構成し、本ステートメントを含む経営の執行に係る重要な意思決定を行っています。経営陣におけるESG課題の重要性に対する十分な認識の下、投資判断および責任投資の最高意思決定機関として投資政策委員会および責任投資委員会を設置し、ESG課題に積極的に取り組む体制を構築しています。利益相反管理方針を定めるとともに、責任投資諮問会議及びファンド業務運営諮問会議を設置し、責任投資や商品組成等に関する活動について、その適切性、妥当性等を検証しています。
当社は、説明責任を適切に果たすため、上記3に記載した当社の取組みについて情報開示に積極的に取り組みます。当社の重要課題(マテリアリティ)や運用・調査部門における取組みの方針を策定するほか、スチュワードシップ活動をまとめた報告書を定期的に作成しており、いずれについても当社ウェブサイトで公表しています。上記2に記載したESG課題への取組みについても、国際的なイニシアティブに基づいて情報開示を行います。
投資先企業に対する働きかけに加え、「最高の付加価値の創造」、「高度な専門性の追求」及び「信頼の獲得と社会への貢献」を柱とする企業理念に基づき、資産運用ビジネスを通して持続可能な社会の構築に貢献できるよう、更なるガバナンスと情報開示の強化に努めて参ります。
当社は、外部環境の変化やステークホルダーとのエンゲージメントのあり方等に対する考え方を適切に反映するため、本ステートメントの内容を必要に応じて改定いたします。
以上
(2022年12月15日改定)
責任投資原則は2006年4月に策定された原則。環境・社会・ガバナンス(ESG)を投資分析と意思決定のプロセスに組み込むことを目的としています。
署名時期:2011年3月
2000年設立。世界の機関投資家が、企業に対して気候変動への戦略やGHG排出量等の公表を求める国際的なプロジェクトであり、現在の活動領域は「気候変動」「水」「森林」があります。
署名時期:2015年6月 署名時期:2021年11月
金融安定理事会(FSB)が2015年12月に設立した民間主導のタスクフォースで、気候変動に関する情報開示の拡充を求めています。
署名時期:2019年3月
世界の機関投資家が協働(集団的エンゲージメント)し、GHG排出量の多い企業に気候変動関連の情報開示と対応を求めるイニシアティブ。
署名時期:2019年12月
2015年にオランダで設立されたGHG排出量の計測・開示手法を標準化するための国際的なイニシアティブです。2021年11月にはPCAF Japan coalitionが設立され、当社は設立時からメンバーとなっています。
署名時期:2021年8月 署名時期:2022年3月
パリ協定の目標に沿って、2050年までに投資先企業の温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロを目指す資産運用会社による2020年12月に設立されたグローバルなイニシアティブです。
署名時期:2021年8月
英コラーキャピタル創業者のジェレミー・コラー氏が2015年に立ち上げた畜産関連の機関投資家イニシアティブ。環境への影響や食品安全性(抗生物質)等、畜産のリスクを啓発しています。
署名時期:2019年6月
TNFDの議論をサポートするステークホルダーの集合体であるTNFDフォーラムにより、TNFDの枠組みに関する議論や自然資本や生物多様性に関するリスクと機会への意識を高めることが可能となります。
署名時期:2023年7月
1999年のダボス会議でコフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱した自主行動原則。世界中の団体に対して、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の活動を促しています。
署名時期:2015年6月
アセットオーナーおよびアセットマネージャーから成るグループで、投資先企業の取締役会やシニアマネジメントとの建設的な対話を行い、トップ層におけるジェンダーダイバーシティの重要性の共有とその実現を目的としています。
署名時期:2019年12月
Women in ETFsは、世界中のETF業界の人々が集まり、平等、多様性、包括性を積極的に推進するという目標を提唱しています。人材の育成とスポンサーシップ、ETF業界における女性の功績の認識と表彰、そしてETFコミュニティの発展などを使命としています。
署名時期:2022年4月
2003年にオランダの実業家、ウィム・リーアベルド氏が設立。医薬品へのアクセスが不足する低・中所得国のため、製薬会社に経営改善を求めています。署名は同財団が公表するインデックスへの賛同。
署名時期:2019年7月
2013年にオランダの実業家であるInge Kauer氏が設立。栄養過多と低栄養という2つの世界的な栄養課題に対する食品・飲料業界による対応度合いを独自の分析ツールにより評価し、食品・飲料業界に対して、世界中の大人と子どもの食生活の改善を促しています。
署名時期:2021年5月
公的資金や民間資金がグローバルヘルス分野へ向かう流れを促進し、主に途上国におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ※やSDGsの達成に貢献することを目的としています。グローバルヘルス分野におけるインパクト・レポーティングや好事例の共有を行い、国際的な社会課題解決などへの貢献を目指します。
©Triple I for Global Health
※ 全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態。
署名時期:2023年9月
1995年に設立。効率的なグローバル市場と持続的な経済の促進に向け、実効的なコーポレートガバナンスの構築と投資家の責任投資の醸成を目的としています。
署名時期:2018年12月
1999年に設立。アジアにおけるコーポレートガバナンスの推進を目的に、コーポレートガバナンス関連の調査や企業支援・教育を推進しています。
署名時期:2018年11月
スチュワードシップ活動の高度化・深化に向け、アセットオーナーとアセットマネージャー間の実務的な課題の特定と、効率的な情報伝達の支援を目的とする。日本取引所グループ(JPX)も運営に、またオブザーバーとして金融庁と日本経済団体連合会が参加。
署名時期:2019年11月
ICMA PrinciplesMembership
不動産セクターの会社・ファンド単位で環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測ります。投資先の選定や投資先との対話に用いるためのツールとして、欧州の年金基金を中心に2009年に創設されました。
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署名時期:2021年3月
環境省の中央環境審議会の提言に基づき、金融機関が持続可能な社会の形成に必要な責任と役割を果たすための行動指針として、2011年10月に策定されました。
署名時期:2012年1月
国連環境計画と世界各地の金融機関とのパートナーシップ。
1992年の設立以来、金融機関や規制当局と協調し、経済的発展とESGへの配慮を統合した金融システムへの転換を進めています。
署名時期:2019年1月
ICMA PrinciplesMembership
グリーンボンド原則、ソーシャルボンド原則、サステナビリティ・リンク・ボンド原則等の基準を定める国際的なイニシアティブ。市場の透明性確保、情報開示、レポーティングを通じて国際債券市場の健全な発展の促進を目的としている。
署名時期:2023年6月
野村グループとして署名