野村アセットマネジメント

運用における責任投資の基本方針

1. 責任投資についての基本的な考え方

野村アセットマネジメント株式会社(以下「当社」という。)は、常にお客様のニーズに適した質の高い資産運用サービスを提供し、お客様と社会から深く信頼される運用会社として、資産運用ビジネスを通じて社会の発展に貢献してゆくことを、その使命と考える。

当社は、お客様の資産を預かる運用受託機関として、フィデューシャリー・デューティー(「お客様本位の業務運営」を行う義務)に基づき、常にお客様の利益の為に誠実に行動し、業務に精通した者が通常持つべき注意深さを持って業務を遂行しなければならない。また、運用において直面しうる利益相反の課題について、お客様の利益を損なうことが無いよう適切な管理を行い、独立性を確保しなければならない。

当社は、有価証券の売買のみならず、議決権等有価証券投資に付随する広範な権利を付託されており、それらの権利を適切に行使し、お客様の利益の最大化に努めなければならない。お客様の資産の中長期的成長において投資先企業の持続的成長と価値創造が不可欠である。当社は、それらの実現のために、目的を持った対話(エンゲージメント)や議決権行使等のスチュワードシップ活動に取り組むことを、運用受託機関として果たすべき重要な責務であると考える。

ESGに係わる課題は、企業が社会の一員として持続的に事業活動を行い、価値を創造してゆくうえで取り組むべき基本的な課題である。従って、当社はESGステートメントに則り、スチュワードシップ活動において投資先企業におけるESG課題への取組みを的確に把握し、企業が適切に課題に取り組むよう対話に努めると同時に、投資判断に反映してゆく。

当社は、以上のような行動全般が、最終的に、投資の好循環ひいては「企業の稼ぐ力」と「国民の資産形成」の拡大及び健全で持続可能な社会の実現につながるものであると考え、「責任ある投資家」としてとるべき行動であると認識する。そのうえで、これらの行動を伴う投資を「責任投資」と定義し、積極的に取り組んでゆく。なお、当社の運用戦略にはアクティブ運用とパッシブ運用があるが、責任投資において両者の間に相違はないと考える。

(注)ESGとは、Environment (環境)、Social (社会)及び(Corporate) Governance (企業統治)の総称である。

2. 具体的な取組み

当社は、責任投資についての基本的な考え方を実現するための具体的な取組みについて、以下のように定める。

投資先企業の理解
  • 投資先企業の事業内容や事業環境、経営等について、深い理解に努めること。
  • 企業のファンダメンタルズを調査・分析する際には、財務情報だけではなく、ESG課題への取組みや背景にある戦略や哲学等非財務情報も対象とすること。
  • 運用における投資判断や、投資先企業とのエンゲージメント、議決権行使等のスチュワードシップ活動は、企業に関する深い理解に基づいて行うこと。
投資先企業への働きかけ
  • 投資先企業が企業価値の向上と持続的成長を実現するために望ましい経営のあり方(PDF別紙1を参照。)を定め、これを実現するよう、投資先企業への働きかけを行うこと。
  • エンゲージメントの基本方針(PDF別紙2を参照。)及びグローバルな議決権行使の基本方針(PDF別紙3を参照。)を定め、公正かつ一貫した姿勢をもって投資先企業への働きかけを行うこと。
  • エンゲージメントの状況を議決権行使に反映すること。
投資判断への反映
  • 投資先企業が望ましい経営のあり方を実現するための取組みをリスクと機会の両面から独自の基準で評価し、投資判断に反映すること。
  • エンゲージメントや議決権行使の状況を投資判断に反映すること。
  • 投資政策委員会において、ESGステートメントに基づいてダイベストメント(投資の引き揚げ)及びエクスクルージョン(投資対象からの除外)に関する全社的な方針を決定すること。
  • 望ましい経営のあり方の実現に向けた取組みについて、投資ポートフォリオ全体の状況を把握するため、定期的にモニタリングをすること。
利益相反の管理
  • フィデューシャリー・デューティーを果たすために、利益相反の可能性に十分留意し、お客様の利益を常に優先すること。
  • 運用における独立性を確保し、利益相反を適切に管理するため、透明性の高い体制とプロセスを構築すること。
協働、対外活動
  • 他の機関投資家等との協働や対外活動は、投資先企業への働きかけの実効性を高める活動であると考え、適切に取り組むこと。
  • 個別事案における協働については、運用における守秘義務も考慮し、慎重に判断すること。
  • 責任投資に関する情報収集を継続的に行い、必要に応じて当社の取組みに反映してゆくこと。
情報開示と説明責任
  • 運用受託機関としての取組みについて、情報開示や顧客への報告を通じて、説明責任を適切に果たしてゆくこと。
組織と取組み
  • 以上の取組みを実効的に推進できるよう、適切な組織体制の構築や運営を行うこと。
  • 専門人材の確保や取組みの強化を通じて、責任投資における実力を養ってゆくこと。

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