野村アセットマネジメント

社会的価値を生み出すインパクト投資

コラム第1回│ESG投資の潮流

第1回ESG投資の潮流のイメージ

近年、「環境」や「社会」といったESGに関連したリスクを実感する出来事が続いています。米国西海岸やオーストラリアなど海外では大規模な森林火災が発生し、日本では巨大台風や梅雨前線の長期停滞により、各地で大規模な水害が生じました。また、プラスチックゴミ削減のためにレジ袋の有料化が開始されたことも記憶に新しい出来事です。コロナウイルス感染症の蔓延により人々の健康への意識が激変しました。コロナ禍における労働環境の変化に伴い、働き方やサプライチェーンにおける労働環境など人権に対する意識が高まり、企業では様々な対応が求められるようになっています。

私たちの社会で生じる様々な問題を、「投資の循環」を通じて解決しようとするのがESG投資といえます。ESG投資は、企業価値の評価を従来の財務諸表だけでなく、人的資本、自然資本、社会資本など、財務諸表には表れにくく数値化することが難しい様々な無形資産、つまり企業の非財務情報も含めた評価を行ない、投資の意思決定を行なうものです。ESG投資では、この非財務情報をいかに評価するかが重要となります。

近年、注目されるようになったESG投資ですが、類似した投資手法は古くから存在しています。例えば、1920年代の米国では武器、ギャンブル、アルコール、タバコなど宗教面や倫理面から受容されにくい企業への投資を対象から除外するというネガティブ・スクリーニングを起源とし、宗教的背景、或いはより倫理面を重視して投資を行なう社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)などがあります。

その後、1980年代以降、新興国における化学プラントでの大事故や、アラスカ湾での原油流出事故などをきっかけに、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)という考え方も広まり、企業の社会的責任を考慮して投資を行なう運用手法も取り入れられました。これは、受託者責任の観点から投資リターンの最大化と社会的責任を果たしている企業への投資を両立させるため、CSR評価の高い企業へ投資を行なうポジティブ・スクリーニングなどによる運用手法です。

2000年代以降には、「社会的インパクト(社会的価値)」を生み出す投資手法に関心が高まっています。従来のファイナンス理論における、「リスク」と「リターン」の2軸による投資の意思決定に加え、環境問題や社会問題の解決という「社会的インパクト」を加えた3次元評価による投資手法です。このインパクト投資は環境・社会を改善する効果が期待できるため、ESG投資やサステナブル投資のひとつのカテゴリーとして定義されています。

一般的な投資と社会的インパクト投資の違い

一般的な投資と社会的インパクト投資の違い

特に、「インパクト投資」では、3つ目の軸である「社会的インパクト」をどの様に定義して、どの様に計測・評価を行なうかが非常に重要となります。

⇒次回は第2回 「社会的インパクト(社会的価値)」とは何か?

投資を通じてどのように「社会的インパクト」を生み出すのか。事例を挙げながら解説致します。