「毎月5,000円でも意味はある?」~若いうちから始めるつみたて投資の価値~

「毎月5,000円や1万円のつみたて投資では、将来に大きな差は出ないのではないか」。20代、30代の方から、このような声を聞くことがあります。確かに、毎月の積立額だけを見ると、少なく感じるかもしれません。特に、社会人になって間もない時期や、収入がまだ大きくない時期には、投資に回せるお金にも限りがあります。それでも、若いうちから少額でもつみたて投資を行うことには、金額以上の意味があります。主な理由は、時間を味方にできること、投資に慣れること、NISAなどの税制優遇制度を早いうちから活用できること、そして将来へ備えるきっかけになることです。
今回は、若い世代が少額からつみたて投資を始める意義について考えてみましょう。

若い世代の強みは「時間」

資産形成において、若い世代が持っている大きな強みは「時間」です。毎月の積立額が少額でも、長く続けることで資産は少しずつ積み上がっていきます。また、運用で得た利益を再び運用に回すことで、利益がさらに利益を生む「複利効果」を活かしやすくなります。この複利効果は、短期間では実感しにくい面があります。一方で、10年、20年、30年と時間をかけるほど、資産形成に与える影響は大きくなりやすいと考えられます。
例えば、23歳から65歳までの42年間、毎月2万円を運用せずに積み立てた場合、65歳時点の累積積立額は約1,000万円です。一方、同じ毎月2万円を年率3%で運用した場合、65歳時点の積立評価額は約2,000万円になる計算です。これに対して、50歳から65歳までの15年間、同じ毎月2万円を年率3%で運用した場合、積立評価額は約454万円にとどまります。

元手ゼロから毎月2万円を積み立てる場合

元手ゼロから毎月2万円を積み立てる場合の図

上記シミュレーションは、あくまで複利(月次)、非課税での試算であり、特定の指数または特定の投資信託の運用実績ではありません。なお、投資信託を活用した積立投資においては積立評価額が累積積立額を下回る場合があります。上記は積立投資の一例であり、すべてを網羅しているわけではありません。また、シミュレーションであり、将来の投資成果を保証するものではありません。
(出所)野村アセットマネジメント作成

つまり、同じ金額を積み立てても、始める時期によって将来の積立評価額には大きな差が生まれる可能性があります。ここで注目したいのは、積立額の大きさだけではありません。早く始めることで、「時間」という味方をつけやすくなる点です。資産形成では「いくら積み立てるか」も大切ですが、「いつから始めるか」も非常に重要です。

始める年齢で、毎月の負担はどれくらい変わる?

次に、65歳時点で2,000万円を目指す場合、始める年齢によって毎月必要な積立額がどの程度変わるのかを見てみましょう。以下は、運用しない場合と、年率3%で運用できたと仮定した場合のシミュレーションです。

65歳までに2,000万円を準備するための開始年齢別・毎月積立額シミュレーション

開始年齢 積立期間 運用しない場合
の毎月必要な積立額
年率3%で運用できたと仮定した
場合の毎月必要な積立額
23歳 42年 4.0万円 2.0万円
30歳 35年 4.8万円 2.8万円
40歳 25年 6.7万円 4.5万円
50歳 15年 11.0万円 8.9万円

(出所)野村アセットマネジメント「つみたてシミュレーション」

このように、同じ2,000万円を目指す場合でも、23歳から始めるのと50歳から始めるのでは、毎月必要な積立額に大きな違いがあります。この差を見ると、資産形成では「いつ始めるか」が重要であることがわかります。 早めに始めることで、将来に向けた準備を少しずつ進めやすくなります。若いうちからの資産形成は、将来の自分にとって心強い備えになるでしょう。

最初から大きな金額でなくてもよい

「毎月いくら積み立てればよいか?」と迷ったときは、「続けやすさ」を基準にすると積立額を考えやすくなります。生活費や自分への投資、奨学金返済、結婚に関する費用など、様々なライフイベントもあります。そのため、「無理のない金額」で始めることを意識したいところです。最初は毎月5,000円でも構いません。収入が増えたり、家計に余裕が出てきたりしたタイミングで、積立額を少しずつ増やしていく方法もあります。継続しながら少しずつ投資に慣れていくことも、少額から始める意味の一つです。

毎月5,000円のつみたて投資シミュレーション

では、毎月5,000円の積み立てを長く続けた場合のイメージを見てみます。以下は、毎月5,000円を42年間積み立て、年率3%で運用できたと仮定した場合のシミュレーションです。毎月5,000円でも、42年間続けると元本は252万円になります。年率3%で運用できたと仮定すると、運用後の積立評価額は約500万円になる計算です。毎月の金額は少額でも、長く続けることで資産形成の土台づくりが期待できます。まずは、毎月5,000円など続けやすい金額から始め、収入が増えたり家計に余裕が出てきたりしたタイミングで、毎月の積立額を少しずつ増やしていく方法も長期の資産形成では現実的な選択肢です。積立額を増やせば、将来準備できる積立評価額も大きくなりやすいでしょう。

(出所)野村アセットマネジメント「つみたてシミュレーション」

少額投資は「投資に慣れる」第一歩

少額のつみたて投資は、投資に慣れるという意味でも役立ちます。投資信託などの変動商品で投資を始めると、価格が上がる局面だけでなく、下がる局面も経験します。投資を始めたばかりの頃は、少し価格が値下がりしただけでも不安になるかもしれません。しかし、少額で始めていれば、大きな損失への不安を抑えながら、値動きに慣れていくことができます。また、実際に投資を経験することで、ニュースや経済の動き、金利、為替などに関心を持つようになります。値下がりした時に「なぜ下がったのか」を考える経験は投資を続けるうえでの判断力を育てることにもつながります。

始めやすい投資信託を使ったつみたて投資

つみたて投資を行う方法の一つに、投資信託があります。投資信託は、多くの投資家から集めた資金をまとめて、株式や債券などに投資・運用する金融商品です。商品によっては、1本で複数の資産や地域に分散投資できるものもあり、少額から長期・積立・分散投資に取り組みやすい特徴があります。

NISAを活用した非課税メリット

つみたて投資を始める際には、NISAなどの税制優遇制度を活用することも選択肢になります。NISAでは、対象となる金融商品から得られる運用益や分配金などを非課税で受け取ることができます。少額でも長く続けるほど、運用益が積み上がることがあります。その利益を非課税で受け取れる点は、長期の資産形成において心強い仕組みです。将来の資産形成に向けて、まずは無理のない金額から、投資信託を活用したつみたて投資を選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

NISA(ニーサ)とは、少額投資非課税制度の愛称です。通常、上場株式や投資信託などの金融商品に投資して得た利益(運用益)や受け取った配当金や分配金に対して、約20%の税金がかかります。一方で、NISA口座で一定の範囲内の金額で購入した金融商品は非課税で運用成果を受け取ることができます。

2026年6月末現在、20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%、住民税5%)。今後税法が改正された場合などには、税率などが変更される場合があります。