雇用統計

米国

毎月発表

米国労働省が原則、毎月第1金曜日に公表する「雇用統計」は、家計調査と事業所調査から様々な労働市場に関するデータが公表されます。速報性があり、その中でも特に注目されているのが、家計調査から公表される「失業率」や、事業調査から公表される「非農業部門の総雇用者数」、「平均時給の変化」などです。また、雇用統計には民間企業から公表される「ADP雇用統計」もあります。主に非農業部門の雇用データを算出しており、労働省から発表される2営業日前に発表されます。

失業率:統計にある失業者とは、働く意欲のある人が求職活動をしている、または働くことが出来る状態の人々が対象となるので、労働市場の安定性や景気の動向をみることができます。

非農業部門の総雇用者数:季節要因などによる雇用の影響を受けにくい政府、医療、社会支援、建設などの分野で働く人々を指します。失業率と同様に雇用者数の変化は経済が活性化、停滞や低迷を判断するうえで参考になります。

平均時給の変化:労働者の収入に直結する統計になります。収入が増加すれば消費の拡大に繋がります。一方、人件費の上昇にも繋がり、インフレ圧力にもなります。

もっと知りたい!

下図の通り、新型コロナウィルス世界的大流行時には、行動制限措置などにより現行統計が始まった1948年以来、失業率は最も高い水準となり、非農業部門雇用者数においても大幅な減少となりました。リーマン・ブラザーズ破綻時と大きく異なるのは米国の雇用統計では失業率に算入されるレイオフ(一時帰休)から職場に復帰した人が増大したことが、雇用の回復へと繋がりました。また、人手不足の中、賃金の上昇圧力が強まり平均時給は上昇しました。

米国の失業率と非農業部門就業者数、平均時給の推移

2007年3月末~2024年6月末、月次

米国の失業率と非農業部門就業者数、平均時給の推移の図

(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成