FF金利
(Federal Funds Rate)

米国

FF金利とは、金融機関同士が1日で資金を貸し借りする短期間の資金調達の際にかかる連邦基金金利(Federal Funds Rate)のことを指します。FOMC(米連邦公開市場委員会)で米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)がFF金利の目標範囲を決定する短期金利のことで、米国において中央銀行の金融政策として注目の高い金利です。FOMCは年間8回の定期的な会議を開催し、各会議の2日目の午後2時に政策決定を発表しています。

(出所)Board of Governors of the Federal Reserve System(

1913年に制定された連邦準備法より、米国の金融機関は預金残高の一定率を無利息で連邦準備銀行に預けるように義務付けられました。連邦準備銀行に預けた資金を米国の民間銀行が貸し借りし合う市場のことをFF(Federal Funds)市場と呼び、FF金利はその市場で使用する金利を指します。

短期金利は通常、1年未満の期間の金利を指します。金融機関などは、短期金利を参考にして預金金利や貸出金利を設定するため、金利が低いと借入れがしやすくなり、消費や投資が促進されるなど景気を刺激する効果が期待できます。一方で金利が高いと、消費者や企業の借入金利も上昇し支払う利息が増加します。そのため、消費や投資が抑制され、結果としてインフレを抑える効果が期待できます。

長期金利は1年以上の期間の金利を指します。長期金利の基準となる国債などの債券市場の需要と供給によって決まるため、中央銀行の政策金利に直接は影響されず、経済の見通しなどの市場心理や複合的な要因が長期金利の動きを決定するといえるでしょう。長期金利は主に住宅ローンなどに影響があります。

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FRBは物価の安定と雇用の最大化を目標としています。過去、金利調整を行なった事例として、2008年では、リーマン・ブラザース破綻による信用不安や金融機関同士の取引の貸し渋りが起こり、金融市場は不安定になった環境の中、緊急会合を開催し信用緩和を促進するために、利下げを決定しました。また、利上げを開始した2015年では労働市場の改善などが進み、利上げに踏み切りましたが米中貿易問題において通商政策などの問題から景気の下振れに備えて予防的な利下げを決定したといわれています。コロナ禍では高インフレへの対策として金融引き締めを実施する必要が生じ2022年3月から連続利上げが実施されました。

米国の政策金利の推移

2006年12月末~2024年7月末、月次

米国の政策金利の推移の図

(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成