「時価総額加重型」と「株価平均型」の特徴について教えてください。
「時価総額加重型」とは?
時価総額加重型は、日本株式では東証株価指数(TOPIX)、米国株式ではS&P500種株価指数やNASDAQ総合指数、世界株式ではMSCI ACWI(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)など、多くの株価指数が採用している算出方法です。
「時価総額加重型」と聞くと難しく感じますが、単語ごとに分けると理解しやすくなります。
時価総額 | 株式市場から見た企業の価値や規模を図る指標です。「発行済株式数×株価」で算出されます。 |
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加重型 |
平均値を算出する場合に、単純に平均せず、数値の影響度を反映する計算方法を加重平均と呼びます。 たとえば、ある国の株式市場にはA社とB社の2社のみが存在するとします。このA社(発行済株式数1,000株、株価100円)・B社(発行済株式数2,000株、株価150円)の平均を計算する場合、単純平均と加重平均では算出結果が異なります。 単純平均の場合: (100円+150円)÷2=125円 加重平均の場合: (100円×1,000株+150円×2,000株)÷(1,000株+2,000株)=約133円 *TOPIXなどの株価指数は構成銘柄の流動性に着目し、発行済株式数ではなく市場で流通する可能性が高い浮動株を採用する浮動株時価総額加重方式を採用しています。 |
時価総額加重型は、組入銘柄の時価総額合計が各指数で定められた基準日からどれだけ変動したかを表し、単位は「ポイント」で示されます。
たとえば東証株価指数(TOPIX)の場合は、基準日を1968年1月4日の時価総額としています。「その日の時価総額÷1968年1月4日の時価総額×100(ポイント)」で算出し、発表しています。
このように、時価総額加重型は各企業の時価総額の割合を重みづけして算出するため、時価総額の大きい銘柄(大型株)の値動きに影響を受けやすいことが特徴です。そのため、より正確に株式市場の実態を反映しているといえるでしょう。また、もし時価総額加重型で算出される株価指数のインデックスファンドを選択した場合、その指数を構成する大型株への投資比率が高くなります。
一方、多くの銘柄が値上がりした場合でも大型株が下がると指数も下がるなど、指数全体の値動きが大型株の影響に左右されやすい特徴があります。
日本の時価総額上位3社はトヨタ自動車(約61.9兆円)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(約19.2兆円)、東京エレクトロン(約18.7兆円)となっています。時価総額加重型で算出されるTOPIXは、これらの時価総額上位企業の影響を大きく受けています。
2024年3月末時点。記載されている個別の銘柄については、参考情報を提供することを目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。
(出所)日本取引所グループ
「株価平均型」とは?
株価平均型は、日本株式では日経平均株価(日経225)、米国株式ではダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)などで使用されている算出方法です。
「構成銘柄の株価の合計÷除数」で求めるため、株価が高い銘柄(値がさ株)ほど指数に与える影響が大きいことが特徴です。
株価指数を算出する際に使用される値で、株価平均型の計算式において割る数を示します。組入銘柄の入れ替えや株式分割などに応じて、過去との連続性を保つために調整されます。
株式市場において、株価水準が比較的高い銘柄を指します。値がさ株の明確な基準はありませんが、日本株式の売買単位は100株単位ですので、仮に1万円の株価の銘柄を100株購入するためには100万円が必要となります。
日経平均株価においてウェイトが高い代表銘柄は、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどです。株価平均型で算出される日経225は、このような株価水準が高い銘柄の影響を大きく受けています。
記載されている個別の銘柄については、参考情報を提供することを目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。日経225は、2022年10月より算出ルールを改訂し、構成比率が過度に高い銘柄の比率に上限を設ける「ウエートキャップ」を導入しています。
(出所)ブルームバーグ
株価平均型で算出された株価指数は、その日の市場の株価の平均を表し、指数の単位は「米ドル」や「円」などの通貨で示されます。日経225やNYダウは、報道で取り上げられることも多く、身近で分かりやすいという特徴があります。