20代の5人に1人は「金融教育」の受講経験あり
金融教育に関する意識調査コラム2023
野村アセットマネジメント資産運用研究所では、2023年3月に「金融教育に関する意識調査2023」を実施しました。本調査では20歳~69歳までの10,664人を対象にアンケートを行っています。その結果より、今回は金融教育の受講経験についてご紹介します。
2022年は日本の金融教育にとってターニングポイントの年であったといわれるようになるかもしれません。
高校の家庭科の授業において「資産形成」が採り上げられ、話題になることが多くありました。
家庭科の新しい学習指導要領※1には、「生活の基盤としての家計管理の重要性や家計と経済との関わりについて理解するとともに、収入と支出のバランスの重要性やリスク管理の必要性を踏まえた上で、将来にわたる不測の事態に備えた経済計画についても考察できるようにする」という目標が掲げられました。「収入と支出のバランス」、「リスク管理の必要性」など、金融教育のベースとなる考え方に触れられています。
また、「生涯を見通した経済計画を立てるには、教育資金、住宅取得、老後の備えの他にも(中略)預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(中略)、資産形成の視点にも触れる」とも記載されており、高校の教育現場においても金融に関する知識を付けていくことが求められています。
それでは実際にどれくらいの方が金融教育を受けた経験があるのでしょうか?調査結果を見てみましょう。
※1高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説家庭編(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/content/1407073_10_1_2.pdf)
20代、30代は他の年代と比べ、金融教育を受けた経験がある方の割合が多い
アンケート調査の結果を見ると、全体では14%の方が学校や勤務先、金融機関などが行う「金融教育」を受けたことがあると回答しました。
年代別では20代の22%が最も多く、次いで30代の17%が受講経験があると回答しています。
若い世代の割合が相対的に多くなっていますが、どの年代を見ても金融教育を受けたことのある人は10~20%程度とまだまだ少ない状況です。今後、高校を中心に学校教育の現場で「金融教育」の機会が広まっていけば、若い世代を中心に金融教育の経験者は増えていくことが推測されます。
現在投資をしている方の27%は金融教育を受けた経験がある
現在、投資を行っている方(投資者)と投資を行っていない方(非投資者)では受講経験の違いはあるのでしょうか?結果を見ると、投資者の27%が「受講経験あり」と回答し、非投資者のうち「受講経験あり」と回答した方の割合は10%と相対的に少なくなっています。やはり、投資をしている方のほうが金融教育の経験値が高い結果となりました。
投資者のうち金融教育を受けたことがある人たちは、投資を始めてから金融教育を受けたのか、または金融教育をきっかけに投資を始めたのか、どちらが先であったかはここでは不明ですが、今後、金融教育を受ける機会が増えていけば、投資をはじめる人もそれに合わせて増えていくことが推測されます。
また、金融教育の機会は学校に限られたものではありません。国としても力を入れていく分野であると考えられています。現時点では、投資に興味があっても漠然とした不安を感じるという方もいらっしゃるでしょう。金融機関などでは投資の基礎を学ぶセミナーも行っていますし、動画サイトで時間を選ばずに気軽に投資の始め方を調べるという方法もあります。このように学ぶ機会は着実に増えています。
学校で金融について教わってきた子供が家庭で家族と一緒に話をするようなことも増えてくるでしょう。親としても子供に話ができるような知識をもっていることが求められるかもしれません。金融が徐々に生活の中に入り込んでいく時代を迎えようとしています。
※本調査では、「金融教育」は生活設計や家計管理、資産形成など金融について、授業やセミナー、イベントなどで学ぶ機会として定義しています。