金融教育の受講のきっかけ
金融教育に関する意識調査コラム2023
野村アセットマネジメント資産運用研究所では、2023年3月に「金融教育に関する意識調査2023」を実施しました。本調査では20歳~69歳までの10,664人を対象にアンケートを行っています。その結果より、今回は金融教育を受講したきっかけや感想、受講後にとった行動などについてご紹介します。
はじめに、金融教育を受講したきっかけについて見てみましょう。
金融教育を受講したきっかけは「将来の不安を感じたから」
金融教育を受講したことのある人にそのきっかけを聞いたところ、最も多かった回答は「将来の不安を感じたから」、次いで「老後2,000万円問題の話題から」「あたらしい資本主義でNISA、iDeCoなど制度改革の話題から」となりました。
年代別でみると、「将来の不安を感じたから」はどの年代でも20%以上となっていて、すべての年代においても最も多い理由に挙げられています。50代でこれを選択した30%の方は、定年を前に不安を感じているのかもしれません。30代で選択した28%の方は教育費や住宅資金をきっかけに将来への不安が現実的になったのかもしれません。いずれにしても、各世代の方が様々な理由により将来への不安を感じ、金融教育を受講するという行動を起こしたことが推測されます。
次に、金融教育を受講した感想を見てみましょう。
金融教育を受講して「資産形成や投資の必要性を感じた」「金融や経済についてもっと学ぶ必要性を感じた」との感想が多い
金融教育を受けたことのある人に受講後の感想を聞いたところ、「資産形成や投資の必要性を感じた」、「金融や経済についてもっと学ぶ必要を感じた」では30%を超え、「家計や生活設計を見直そうと思った」など、お金について自分事として考えるきっかけになったという回答も上位に挙げられています。また「投資はギャンブルではないことが理解できた」が20%、「投資のマイナスイメージが取り除かれた」が12%など、金融教育を受けたことにより、投資に対するネガティブな印象を払拭できた方が一定数いることがわかりました。いずれにしても金融教育を受講したことによって、それまで知らなかったこと、誤解していたことなどに気づくことができ、その後の行動を起こすきっかけになった人が多いことがわかります。
最後に、金融教育を受けた後に、行動してみようと思ったことと、実際におこした行動について見てみましょう。
理解していても行動に移せない人は一定数存在する
金融教育を受けたことのある人に、「金融教育を受けた後、どのような行動をしてみたいと思ったか、また実際にどのような行動をしたか」を聞いたところ、「投資を始めたくなった(始めた)」との回答が31%、「金融商品について知りたくなった(調べた)」が29%と相対的に多く、次いで「投資額を増やしたくなった(増やした)」、「金融機関に相談に行きたくなった(相談に行った)」となりました。
金融教育を受けたことで、投資に対して理解や機運が高まったことがわかります。一方で、「してみようと思った行動」と「実施にした行動」(下の赤色のグラフと灰色のグラフ)の差異を見ると、頭ではわかっていても実際に行動に移せていない人も一定数存在することが見て取れます。実際に行動に移すことは簡単ではないかもしれませんが、「早くに対応しておけばよかった」と後悔しないよう、金融教育での学びを将来に備える一歩として、具体的に金融商品や金融機関などを調べることから始めてみてはいかがでしょうか?