【第1回】20代、30代で投資信託を利用する人が増加

投資信託に関する意識調査コラム2022

このコラムでは、野村アセットマネジメント資産運用研究所が2022年3月に実施した「投資信託に関する意識調査」のアンケート結果より、投資信託を保有したきっかけや保有していない理由、NISA制度や積立投資の利用状況などについてご紹介します。

気心の知れた友人同士でも「お金の話」については、なかなか話題にしにくいのではないでしょうか。周りの方々がどのように資産形成をしているのか、気になる方もいらっしゃると思います。

第1回は、投資信託を利用している人はどれくらいいるのか、どんなきっかけで投資を始めたのかなど、投資信託の利用状況について見てみましょう。

投資信託を持っている人は12.3%

日本ではどれくらいの方が投資信託を持っているのでしょうか?今回のアンケート結果では12.3%と、約8人に1人が投資信託を保有していると回答しました(図1参照)。2008年以降、保有者率は減少傾向を示してきましたが、2019年以降、保有者率が少しずつ増えていることがわかります。

図1 投信保有者率の推移

図1 投信保有者率の推移の図

図2の年代別のデータを見ると、年代が上がるにつれて保有者率が高まる傾向があり、若い世代の保有者率は相対的に低くなっています。しかし、2020年度との比較に着目すると、20代、30代の保有者率は増加し、逆に60代、70歳以上では減少しています。前年度と比べてみると、年代別に利用者の状況は異なり、若い世代で投資信託を保有する割合が増えていることがわかります。

図2 年代別 投信保有者率(前年度比較)

図2 年代別 投信保有者率(前年度比較)の図

投資信託への投資を始めたきっかけで最も多い理由は「預金金利が低いから」

投資信託を保有している人は、どのようなきっかけで始めたのでしょうか?全体の約4割の方々が「預金金利が低いこと」を挙げており、この割合は年代が上がるほど高くなっています(図3参照)。しかし、年代別に見てみると、その理由の上位3位は世代ごとに異なっています。世代によって投資信託を持つきっかけは様々であるといえるでしょう。

20代、30代では「つみたてNISA」や「ネットで気軽に投資ができるから」の割合が高く、特に20代の過半数はつみたてNISAがきっかけと回答しています。このように若い世代では、NISAやつみたてNISA等の税制優遇制度の活用やインターネットをきっかけに投資信託への投資を始める人が増えているという姿が浮かび上がってきました。

図3 投信保有のきっかけ

図3 投信保有のきっかけの図

投資信託を持っていない理由のトップは「投資する資金がない」

投資信託を持っていない方にその理由を尋ねたところ、「投資する資金がないから」が最も多い結果となりました(図4参照)。投資はある程度まとまったお金がないと始められない、というイメージがあるかもしれません。実は、投資信託には少額で分散投資ができるという大きな特徴があります。「投資する資金がない」と考えていらっしゃる方は、投資信託を活用して、まずは少額から始めてみるという方法もあるのではないでしょうか。

投資信託を持っていない理由の第2位は「何を買ってよいかわからないから」でした。特に、投資の経験がない方のなかには「何を買ってよいかわからない」と最初の一歩を迷う方もいらっしゃるかもしれません。「1つの投資信託に決めて投資しなければいけない」と考えてしまうと迷うものですが、複数の投資信託に分散して投資するという方法もあるでしょう。投資を始めようと考えていても、迷っているうちに時間が過ぎてしまったという方も多いのではないのでしょうか。

投資信託を持っていない理由の第3位の「損をする可能性が高いと思うから」の割合は、高い年代ほど増えている傾向があります。これは年代が高い世代が、リーマンショック、ITバブル崩壊など、過去に株価の大きな下落局面(マーケットのショック)を何度か経験したことが影響しているとも考えられます。

投資信託を保有しない理由として挙げられたものは、必ずしも本質的な要因ではないかもしれません。その解決策を知ることによって、投資信託を購入するハードルをクリアできるものもあるでしょう。投資信託を保有していない背景は様々であり、投資信託は少額で投資できることを知らない場合、様々な種類の商品の中から複数を選択するという方法を知らない場合、損失を回避することはできないけれどもその可能性を少しでも低くする方法を知らない場合なども考えられます。積立投資という投資の方法があることや、投資信託のメリットを知ることで、投資信託を使ってみたいと思われる方が、今後増えていくのではないかと考えています。

図4 投信の非保有理由

図4 投信の非保有理由の図