3.平均余命

なぜ今、資産運用が必要なの?

厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性は87.57歳となっています。しかし、充実したセカンドライフに向けて老後資金がいくら必要か計算するには、平均寿命ではなく平均余命で考える必要があります。平均余命とは、ある年齢の人が、そのあと何年間生きることができるかという期待値を算出したものです。
老後資金が必要になる60歳の場合で見てみましょう。以下のグラフを見ると、現在60歳の方の平均余命は、男性は約24年、女性は約29年です。男性で60歳+24年=84歳、女性で60歳+29年=89歳と、平均寿命より備えるべき期間が長いことがわかります。
また、90歳まで生きる確率は男性で4人に1人、女性では2人に1人以上となっていますので、最低でも30年分の老後資金は備えておいたほうがよさそうです。今後の医療の進歩等を考慮すれば、まさに「人生100年時代」が訪れています。

60歳の平均余命

60歳の平均余命の図

90歳・100歳まで生きる確率

90歳・100歳まで生きる確率の図

図表の数字は、四捨五入している場合があります。
(出所)厚生労働省「令和3年簡易生命表」()を基に野村アセットマネジメント作成

老後の平均的な消費支出は、月額約26万円※1とされています。そして、夫婦2人分の標準的な年金額※2は、21.9万円※3といわれています。つまり、平均的な生活を送るためには、毎月約4.1万円(26万円-21.9万円)不足するということになります。
以下は、退職金を2,200万円※4とし、そこから30年間、毎年49.2万円(4.1万円×12ヵ月)を取り崩した場合のイメージです。退職金を現金で置いたまま取り崩していった場合、30年後に約724万円残ります。一方、年3%のリターンで運用しながら取り崩していった場合、30年後に約2,929万円残っています。毎月取り崩しているにも関わらず、運用した場合は資産が増えています。

退職金の取り崩しイメージ(平均的な生活の場合)

退職金の取り崩しイメージ(平均的な生活の場合)の図

※1 (出所)総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要」()、2人以上の世帯のうち65~69歳の無職世帯

※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

※3 (出所)厚生労働省「令和4年度の年金額」(

※4 (出所)厚生労働省「令和元年 賃金事情等総合調査―退職金、年金及び定年制事情調査」()より、調査産業計・満期勤続・大学卒・男性平均退職金額2,289万円(平成30年度)を参考に、2,200万円と仮定。

シミュレーションの前提:上記データを基に2,200万円の退職金を毎年、年末に49.2万円ずつ取り崩したと仮定し、運用した場合としなかった場合の資産残高の推移を示しています。野村アセットマネジメントが算出したシミュレーションの結果であり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。算出過程で取引コスト等は考慮しておりません。

図表の数字は、四捨五入している場合があります。

(出所)総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要」()、厚生労働省「令和4年度の年金額」()、厚生労働省「令和元年 賃金事情等総合調査―退職金、年金及び定年制事情調査」()を基に野村アセットマネジメント作成

平均的な生活で30年間過ごせるのであれば問題ないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、老後は医療費などが想像以上にかかり、臨時支出が頻発する可能性もあります。例えば、介護費用を考えてみましょう。2021年のデータによると、介護に要する費用は、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用が平均74万円※5、また平均で月々8.3万円※5がかかるとされています。平均的な介護期間は61.1ヵ月※5となっていますので、総額で約581万円(74万円+8.3万円×61.1ヵ月)かかる計算です。介護費用が必要となれば、現金のみに置いていた場合、前述の取り崩しイメージで確認した残りの約724万円は、143万円(724万円-581万円)しか残りません。
以下のグラフは、平均寿命と介護期間の推移を示しています。年々、介護期間は伸びており、必ずしも健康で過ごせる期間だけが伸びているわけではないことがわかります。これは、上記で算出した金額以上に介護費用がかかる可能性を示唆しています。

平均寿命(女性)と介護期間の推移

平均寿命(女性)と介護期間の推移の図

※5 (出所)公益財団法人 生命保険文化センター 「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(

※6 (出所)厚生労働省「令和3年簡易生命表」(

(作成)野村アセットマネジメント

また、旅行に行ったり住宅のリフォームを行なったりと、ゆとりあるセカンドライフを送るには、月額36.1万円※7必要といわれていますので、更に準備が必要です。以下は退職金2,200万円を年間170.4万円((36.1万円-標準的な年金額21.9万円)×12ヵ月)取り崩した場合のイメージですが、年6%のリターンで運用しても約23年で枯渇し、ゆとりあるセカンドライフを送る資金は足りなくなることがわかります。ゆとりあるセカンドライフを送るためには、将来のライフイベントに沿った資産運用を計画的に考えておく必要があります。

退職金の取り崩しイメージ(ゆとりあるセカンドライフの場合)

退職金の取り崩しイメージ(ゆとりあるセカンドライフの場合)の図

※7 (出所)公益財団法人 生命保険文化センター 「令和元年度 生活保障に関する調査」(

シミュレーションの前提:2,200万円の退職金を毎年、年末に170.4万円ずつ取り崩したと仮定し、運用した場合としなかった場合の資産残高の推移を示しています。野村アセットマネジメントが算出したシミュレーションの結果であり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。算出過程で取引コスト等は考慮しておりません。
図表の数字は、四捨五入している場合があります。
(出所)厚生労働省「令和4年度の年金額」()、厚生労働省「令和元年 賃金事情等総合調査―退職金、年金及び定年制事情調査」()、公益財団法人 生命保険文化センター 「令和元年度 生活保障に関する調査」()を基に野村アセットマネジメント作成

老後資金は、いつから準備すればよいのでしょうか?

老後資金は、年齢を問わず、早いうちから準備しておくことが有効です。
以下のグラフは、実際に1984年12月末から2021年12月末までで8資産に分散投資した場合の保有期間別年率リターンの比較です。保有期間が長くなるほど、リターンのばらつきが小さくなっていることがわかります。
また、この期間に関しては、保有期間10年の場合、最小のケースでも1.4%のリターンとなっており、マイナスはありませんでした。前述のとおり、退職金が2,200万円と仮定し、30年間、年1%で運用しながら毎年49.2万円を取り崩した場合、残額は約1,237万円となっています。この期間に8資産を10年間保有していれば、最小のケースでも1.4%のリターンとなっており、資産分散しながら長期で運用することは、セカンドライフに備える有効な手段の1つといえそうです。

8資産に分散投資した場合の保有期間別年率リターンの比較

(1984年12月末~2021年12月末)

〈保有期間1年間の場合〉

8資産に分散投資した場合の保有期間別年率リターンの比較〈保有期間1年間の場合〉の図

〈保有期間5年間の場合〉

8資産に分散投資した場合の保有期間別年率リターンの比較〈保有期間5年間の場合〉の図

〈保有期間10年間の場合〉

8資産に分散投資した場合の保有期間別年率リターンの比較〈保有期間10年間の場合〉の図

シミュレーションの前提:国内債券、国内株式、国内リート、外国債券、外国株式、外国リート、新興国債券、米国ハイ・イールド債券の8つの資産を1/8ずつの割合で、各資産の月間リターンを基に毎月リバランス(相場変動などにより変化した投資比率を調整し1/8ずつの割合を維持)を行なったものとして、野村アセットマネジメントが独自に計算したものです。ただし、1984年12月末~1989年7月末の値は、国内リート、外国リート、新興国債券、米国ハイ・イールド債券を除く4資産を1/4ずつの割合で、1989年8月末~1996年12月末の値は、国内リート、新興国債券、米国ハイ・イールド債券を除く5資産を1/5ずつの割合で、1997年1月末~2002年12月末の値は、国内リート、新興国債券を除く6資産を1/6ずつの割合で、2003年1月末~2003年3月末の値は、国内リートを除く7資産を1/7ずつの割合で計算しています。各資産の算出に用いた市場指数については、コラムの末尾をご参照ください。
例えば、2021年12月末の年率のリターンは、2021年12月末までに1年間保有した場合、5年間保有した場合、10年間保有した場合の年率換算したリターンを示しています。
税金・手数料などは考慮しておりません。グラフは過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
(出所)ブルームバーグ等のデータを基に野村アセットマネジメント作成

また、長期で投資することは、複利の効果も得ることにつながります。複利については、コラム「なぜ今、資産運用が必要なの? 2.インフレ」でわかりやすく解説しています。
長期投資や複利の効果を味方につけるため、少しでも早く資産運用を開始してみてはいかがでしょうか。
早く始めたいと思っても、投資タイミングに悩んだり、一度にまとまったお金を投資したりすることに迷いを感じるという方には、積立投資が有効かもしれません。積立投資についての詳細は、以下のコラムや動画でご説明しています。

また、積立投資と聞くと、毎月少額でコツコツ積み立てるイメージがある方も多いのではないでしょうか。実は積立投資は、まとまった資金の運用にも効果的です。例えば、現在300万円の投資資金のある方が、12ヵ月間で毎月25万円ずつ、もしくは24ヵ月間で12.5万円ずつなど、期間を区切って積立投資を行なえば、時間分散によるリスクの低減効果が期待できます。まとまった資金の運用方法にお悩みの方も、積立投資を活用してみてはいかがでしょうか。詳しくは以下の動画をご視聴ください。