世界株式とは?世界株式と米国株式、どちらを選べば良いの?
投資先の選び方
投資信託で資産運用を始める時、どの投資対象を選択するか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、このコラムでは世界株式について解説します。
世界株式とは?
世界株式とは、その名の通り世界中の株式を指します。
個人で世界中の企業に投資するとなると、お金も手間もかかります。そこで、世界株式に投資をしたい時に簡単に活用できるのが、世界株式を投資対象とする投資信託です。世界株式を投資対象とする投資信託には、世界株式市場全体の値動きを示す株価指数に連動する運用成果を目指すように設定されたインデックスファンドや、株価指数より高いパフォーマンスを目指すアクティブファンドがあります。
代表的な株価指数の1つとして、世界の株式市場の時価総額全体のうち約85%をカバーする「MSCI ACWI(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)」※1が挙げられます。
※1(出所)MSCI、2024年2月末時点
企業が発行した株式の市場価格の合計額。「発行済株式数×株価」で計算され、その銘柄の価値や規模を図る指標です。
世界株式に投資するメリット:世界の経済成長を取り込むことが期待できる
世界株式に投資をするメリットは、世界の経済成長の恩恵を受けることが期待できる点です。
世界経済の規模を図る指標にGDP(国内総生産)があります。以下のグラフで黄色の面グラフが示す通り、今後も世界のGDPは成長が見込まれています。次に、折れ線グラフで示している世界株式の推移を確認していきましょう。世界株式は、経済危機などによって短期的には下落局面があるものの、長期的に見るとGDPと共に上昇してきたことが分かります。今後、MSCI ACWIのような世界株式を保有することで世界の経済成長を取り込むことが期待できそうです。
世界株式は1988年1月末を100として累積リターンを指数化。
(期間)世界株式:1988年1月末~2024年2月末、月次。世界のGDP:名目GDP、1988年~2028年、2023年以降はIMF予測。
(使用した指数)世界株式:MSCI ACWI(配当込み・米ドルベース)
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。算出過程で取引コストなどは考慮しておりません。市場指数そのものに投資することはできません。ファンドの運用実績ではありません。
(出所)ブルームバーグ、IMF「World Economic Outlook Database, October 2023」のデータを基に野村アセットマネジメント作成
「MSCI ACWI(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)」とは?
MSCI ACWIは、米国の金融サービス企業「MSCI Inc.(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)」が算出する株価指数です。MSCI ACWIは先進国23カ国及び新興国24カ国の大型株と中型株のうち、最も時価総額が大きい計2,919銘柄※2で構成されており、組入上位銘柄は以下の通りです。
※2(出所)MSCI、2024年2月末時点
MSCI ACWI 組入上位銘柄
銘柄 | 国 | 比率 | |
---|---|---|---|
1 | マイクロソフト | 4.14% | |
2 | アップル | 4.01% | |
3 | エヌビディア | 2.77% | |
4 | アマゾン・ドット・コム | 2.33% | |
5 | メタ・プラットフォームズ | 1.55% |
2024年2月末時点。記載されている個別の銘柄については、参考情報を提供することを目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。
(出所)MSCIの情報を基に野村アセットマネジメント作成
以下のグラフで示す通り、MSCI ACWIの国別内訳は60%以上が米国です。しかし、時価総額上位の企業はグローバルに事業を展開しているケースも多いため、今後拡大し得る新興国市場の恩恵を受けることも期待できます。
2024年2月末時点。
(出所)MSCIの情報を基に野村アセットマネジメント作成
MSCI ACWIは先進国23カ国及び新興国24カ国から構成されています。
MSCI ACWIの構成国
先進国市場 | 新興国市場 |
---|---|
カナダ、米国、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、オーストラリア、香港、日本、ニュージーランド、シンガポール | ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、チェコ、エジプト、ギリシャ、ハンガリー、クウェート、ポーランド、カタール、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、アラブ首長国連邦、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ |
2023年6月末時点。
(出所)MSCIの情報を基に野村アセットマネジメント作成
「MSCI Inc.」が算出する代表的な指数は以下の通りです。
「MSCI Inc.」が算出する代表的な指数
インデックス | 構成国 | 銘柄数 | 特徴 |
---|---|---|---|
MSCI ACWI | 47 | 2,919 | 先進国23カ国と新興国24カ国の大型株&中型株 (MSCI World + MSCI Emerging Markets) |
MSCI World | 23 | 1,479 | 先進国23カ国の大型株&中型株 |
MSCI Kokusai | 22 | 1,254 | MSCI Worldから日本を除いた指数 |
MSCI Emerging Markets | 24 | 1,440 | 新興国24カ国の大型株&中型株 |
2024年2月末時点。
(出所)MSCIの情報を基に野村アセットマネジメント作成
MSCI ACWIのような全世界株式に連動する運用成果を目指すインデックスファンドに投資するメリットは、今後も自動的に時価総額の高い企業に投資比率が調整される点です。時価総額ランキングに変化があれば、組入銘柄や投資比率にも変動があります。
インデックスファンドとは、指数(インデックス)など、あらかじめ定めた目標(ベンチマーク)に連動する運用成果を目指すファンドを指します。一方、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用成果を目指すファンドのことをいいます。ベンチマークを定めていないアクティブファンドもあります。
世界株式vs米国株式
世界株式と米国株式への投資を検討されている方も多いのではないでしょうか。
以下は、世界株式と米国株式の比較です。現在、著しく成長する米国株式市場の恩恵をダイレクトに受けることができる米国株式のリターンは、世界株式を大きく上回っています。
1988年1月末を100として累積リターンを指数化。
(使用した指数)世界株式:MSCI ACWI (配当込み・米ドルベース)、米国株式:S&P500種株価指数(配当込み・米ドルベース)
(期間)1988年1月末~2024年2月末
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成。
しかし、米国企業だけに投資することが正解とは言い切れません。
以下は、過去55年間、米国株式と、米国株式以外の主要国株式の年間騰落率を比較しています。0%のラインから上が米国株式、下が米国株式以外の主要国株式が優位だった時代です。
2008年に起きた経済危機「リーマン・ショック」が落ち着きをみせた2010年頃からは米国株式が優位の時代が続いていますが、赤い点線より左側はマイナス幅が大きく、米国株式を除く主要国株式のパフォーマンスが大幅に上回っていたことを示しています。長期でみると米国株式とそれ以外の主要国株式は交互に優位な時代を繰り返しています。
騰落率差は米国株式-米国を除く主要国株式。
(期間)1969年12月~2024年2月、月次
(使用した指数)米国株式:MSCI USA Index(配当込み・米ドルベース)、米国を除く主要国株式:MSCI World ex USA Index(配当込み・米ドルベース)
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。算出過程で取引コストなどは考慮しておりません。市場指数そのものに投資することはできません。ファンドの運用実績ではありません。
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
四半期ごとに組入銘柄の定期的な見直しを行なうMSCI ACWIなどの全世界株式インデックスに投資をすることで、投資環境が変わっても常に世界の時価総額の大きい企業群に投資を続けることができます。
世界全体の経済成長を確実に捉えたい方は全世界株式、米国株式の成長をダイレクトに取りたい方は米国株式を選択すると良さそうです。
世界株式に組み合わせたい資産とは?
世界株式と米国株式の両方に投資することを検討している方もいらっしゃいますが、上述の通り世界株式の投資先内訳は現在半分以上が米国企業です。そのため、世界株式と米国株式の両方を購入すると重複する投資先が多くなります。
仮にMSCI ACWIの全世界株式インデックスを保有している場合は、MSCI ACWIの組入比率が低い日本株式や新興国株式も併せ持つことで、より分散投資の効果を狙うことができます。
分散投資とは、値動きの異なる複数の資産に投資をすることです。
資産運用の格言に「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉があります。卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合、すべての卵が割れてしまうかもしれません。しかし、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、 そのうちの一つのカゴを落としてしまったとしても、他のカゴの卵は影響を受けずに済みます。
上記はイメージ図であり、分散投資のすべてを説明しているものではありません。