青年中期(高校生等)

徹底分析!子育てのお金
~子供の世代別 意外にかかること、案外かからないこと~

このコラムでは、青年中期(高校生等)に必要なお金や制度などについて説明します。想定以上にお金が必要なことや、案外かからないことに気づくかもしれません。
高校などの就学支援金制度についてや、大学受験をする場合に必要なお金についてもご紹介していきます。

高校3年間でかかる学習費総額は?

高校(全日制)3年間でかかる学習費総額は公立で約154万円、私立で約316万円とのことです。1年あたりで見ると、公立で約51万円、私立で約105万円となります。中学生で私立に通う割合は約7.7%ですが、私立高校(全日制)に通う割合は約34%と3人に1人は私立高校に通っていることになります。私立の場合、公立に比べて学習費が2倍以上かかるようですので、私立高校への進学を考える場合には、公立高校以上に準備が必要になりそうです。各学習費の内訳は以下の通りです。

公立・私立高校(全日制)学習費総額の内訳(年額)

  公立高校
(全日制)
私立高校
(全日制)
学校教育費 309,261円 750,362円
学校外活動費 203,710円 304,082円

令和3年度の年額

(出所)文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」、「令和4年度学校基本調査」()を基に野村アセットマネジメント作成

私立高校授業料実質無償化とは?

令和2年4月より私立高校生への就学支援金が大幅に拡充されました。世帯年収約590万円※1未満世帯への支援額の上限が引き上がり、私立高校(全日制)の場合396,000円まで返還不要の授業料支援を受けることができます。私立の学校教育費のうち、授業料の割合は4割弱の約29万円といわれています。所得制限はありますが、支給上限額が引き上がったことにより私立高校の授業料の負担が実質無償になり、お子さんの進学の選択肢も広がるでしょう。一方で学校教育費の残り約6割の費用は必要となり、入学金や教材費、通学費などの準備はしておく必要があります。

※1両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安。

(出所)文部科学省「私立高等学校授業料の実質無償化について」、「令和3年度子供の学習費調査の結果について」(

(ご参考)支援の対象になる世帯の年収目安

  子の人数 11万8,800円の支給 39万6,000円の支給
両親のうち一方が
働いている場合
子2人(高校生・高校生)
扶養控除対象者が2人の場合
~約950万円 ~約640万円
子2人(大学生・高校生)
扶養控除対象者が1人、特定扶養控除対象者が1人の場合
~約960万円 ~約650万円
両親共働きの場合 子2人(高校生・中学生以下)
扶養控除対象者が1人の場合
~約1,030万円 ~約660万円
子2人(高校生・高校生)
扶養控除対象者が2人の場合
~約1,070万円 ~約720万円
子2人(大学生・高校生)
扶養控除対象者が1人、特定扶養控除対象者が1人の場合
~約1,090万円 ~約740万円

支給額は、私立高校(全日制)の場合。

子について、中学生以下は15歳以下、高校生は16~18歳、大学生は19~22歳の場合。

給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、両親の収入は同額として計算した場合。

(出所)文部科学省「私立高等学校授業料の実質無償化について」()を基に野村アセットマネジメント作成

高校生のお小遣いの相場は?

高校生全体の毎月のお小遣いの平均額は6,600円程度のようです。高校生になるとそれまでよりも毎月のお小遣い額が高くなっていく傾向があります。また、活動の幅も広がり、特別なイベントがある時にはお小遣いとは別に追加でお金が必要になることもあるようです。コラム「教育資金・投資教育ってどうしてる?(中・高・大学生/後編)」では、中・高・大学生の子供を持つ野村アセットマネジメント社員に、お小遣いの渡し方や、資産運用について子供にどのように伝えているのかなどをインタビューしています。
成人年齢引き下げによって高校を卒業する頃にはもう成年です。お小遣いの使い方を含め、お金の管理や資産形成についてお子さん自身で考えていく必要が出てきます。動画シリーズ「【小学生にもわかる!】資産運用のレッスン」では、株式や債券、投資信託がどのようなものなのか気軽に学べるので、親子で一緒に見ながら、資産運用の話をしてみてはいかがでしょうか。

(出所)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年」(

大学受験する際に必要な費用は?

令和4年度の大学・短期大学、専門学校への進学率※2は83.8%で、過去最高の進学率(前年度同率)となっています。そのうち大学への進学率は56.6%で、半数以上が大学に進学しているようです。大学受験に必要な費用は平均30万円程度ですが、志望校の数によって増減します。入学する大学への入学金に加え、入学しなかった学校への納付金が約10.5万円など、入学するまでにもいろいろなところで費用がかかってくることを想定しておく必要があります。

※2高等専門学校4年在学者を含みます。

(出所)文部科学省「令和4年度学校基本調査」()、株式会社日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」

【インタビュー】青年中期(高校生等)に意外にかかったこと・案外かからなかったこと

実際に子育てをしている野村アセットマネジメントの社員に、青年中期(高校生等)に意外にかかったこと・案外かからなかったことをインタビューしました。

意外にかかったこと

受験生の時は、学習塾に支払う追加講座や、過去問題集のテキスト購入など、細々費用が必要になり、最終的に合計するととてもお金がかかっていて驚きました。
部活の内容によるとは思いますが、ウェアやシューズ、備品などは想像以上に消耗してしまい、買い替えやメンテナンスの費用がかかりました。合宿や遠征費なども想定外の負担でした。
大学受験の時に、第一志望の合格発表のタイミングの関係で、先に受かった大学に入学金を振り込む必要がありました。捨て金になってしまう可能性がありましたが、保険として支払いました。
留学がしたいと言われ、交換留学制度を使っても、1年で200万円程度かかりました。想定していた学費を大きく上回ったので資金を捻出するのが大変でした。

案外かからなかったこと

私立高校の授業料については、就学支援金が拡充されたことで、負担がほとんどなくなりました。公立だけでなく、私立高校の選択肢もできたことで、子供と進路についていろいろな可能性を見つけながら話すことができました。
文化系の部活は、器材や楽器などの購入で初期費用はかかるものの、継続するための費用はそれほどかからなかったです。

青年中期(高校生等)は、私立高校の授業料実質無償化など制度を利用することができれば、教育費の負担を抑えることができそうです。一方でやりたいことの幅が広がる時期でもあります。部活・習い事・留学など、本格的になるとさらに費用が必要になることもあるでしょう。また、大学・専門学校への進学率は増加傾向が続いています。受験にかかる費用やその後の進路でさらにお金が必要になるので、お子さんと進路について会話をしながら、今後必要になるお金についても想定し、早くから計画的に資産運用を活用して準備することで、負担を軽減できるかもしれません。