乳幼児期

徹底分析!子育てのお金
~子供の世代別 意外にかかること、案外かからないこと~

このコラムでは、乳幼児期に必要なお金や活用できる助成制度などについて説明します。想定以上にお金が必要なことや、案外かからないことに気づくかもしれません。
乳幼児期は子育ての支援制度が充実しているので、その中の代表的な助成制度や手当を中心にご紹介していきます。

乳幼児医療費助成制度とは?

子供が産まれてから一定の年齢に達するまで、入院や通院で発生した医療費の自己負担額を市区町村が全部または一部を負担してくれる制度です。
特に乳幼児は定期的に乳幼児健診を受けたり、生後2ヵ月頃から予防接種を受けたりと病院へ行くことが多くなります。それだけではなく、小さい頃は体調を崩すことも多く、病院へ通院する機会が増えていきます。こういったケースでも自治体から助成がでるため、負担は大きくならずにすみそうです。
厚生労働省の調査によると、すべての都道府県で助成がされていますが、対象年齢や補助金額・方法は様々です。詳しくは自治体にご確認いただくか、厚生労働省のホームページでも確認することができます。

(出所)厚生労働省「令和2年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について」(

幼児教育・保育の無償化とは?

幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までのすべての子供たちの利用料が無償化される制度です。
無償化の期間は満3歳になった後の4月1日から小学校入学前の3年間で、幼稚園については月額上限が2.57万円です。一方で、給食費・送迎費・遠足代などの行事費、入園料、制服代は対象外となるため、実際に通う施設によってかかる費用は異なります。

0歳から2歳までの子供たちについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無料になります。

幼稚園、保育所、認定こども園に加え、地域型保育も同様に無料になります。

認可保育園については無償化の対象ですが、認可外保育施設※1等については共働きなど保育の必要性の認定事由に該当する子供に対しては、3歳から5歳までの子供たちが月額3.7万円まで、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供たちは月額4.2万円までの利用料が無償化されます。
このように、幼稚園や認可外保育施設等では金額の上限が設けられており、私立幼稚園や認可外保育園等に預ける際は差額分を支払う必要がある場合もあるので注意が必要です。

また、以前は待機児童数が多い問題(認可保育園等への入園を希望しても施設が満員で入園できないこと)が話題になっていましたが、2022年4月の待機児童の状況を見ると全国で2,944人と2017年の26,081人から大幅に改善されています。一方で、今後も女性就業率の上昇傾向やフルタイムの共働き世帯割合の増加が見込まれ、保育の必要性が再び増加する可能性があり、働きながら子育てをしたいと考えている方にとって、待機児童数については今後も注視する必要がありそうです。

※1認可外保育施設とは、一般的な認可外保育施設、地方自治体独自の認証保育施設、ベビーシッター、認可外の事業所内保育等を指します。

(出所)内閣府「幼児教育・保育の無償化」()、厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和4年4月1日)」()を基に野村アセットマネジメント作成

児童手当とは?

児童手当とは、子育て支援のために、児童を養育している保護者に対して支払われる手当です。お住まいの市区町村にて申請を行なうと支給されます。原則として、0歳(申請した月の翌月)から中学校卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)までの児童が対象となります。

支給額※2

児童の年齢 児童手当の額(一人あたり月額)
3歳未満 一律15,000円
3歳以上
小学校修了前
10,000円
(第3子以降は15,000円)
中学生 一律10,000円

※2所得制限限度額、所得上限限度額が定められており、それぞれの限度額を超えた場合に、支給額が減額となる場合や、支給されない場合があります。

(出所)内閣府「児童手当制度のご案内」()を基に野村アセットマネジメント作成

習い事にかかる費用

全国の幼稚園児・保育園児(満4~6歳)の保護者を対象とした調査では、平均で56.1%の子供が小学校入学前に習い事をしているようです※3

では、幼児のパパ・ママは、どのような習い事をさせているのでしょうか。子供がしている習い事のトップ3は「水泳」「英語塾・英会話教室」「体操教室」となっています。

※3(出所)学研教育総合研究所(Gakken)「幼児白書(2022年)」

子供がしている習い事(複数回答可)

1位 水泳 21.8%
2位 英語塾(読み書き中心)・英会話教室 12.6%
3位 体操教室 11.5%
4位 通信教育 10.5%
5位 音楽教室(歌や楽器など) 8.6%

(出所)学研教育総合研究所(Gakken)「幼児白書(2022年)」を基に野村アセットマネジメント作成

また、習い事にかかる費用の平均は、1ヵ月あたり約1.2万円となっています。約80%の人が毎月5千円以上を習い事に支出しているようです。

習い事にかかる費用(1ヵ月あたり)

10,000円以上 48.7%
7,500~10,000円未満 10.3%
5,000~7,500円未満 23.0%
5,000円未満 18.0%
平均 11,522.9円

(出所)学研教育総合研究所(Gakken)「幼児白書(2022年)」を基に野村アセットマネジメント作成

【インタビュー】乳幼児期に意外にかかったこと・案外かからなかったこと

実際に子育てをしている野村アセットマネジメントの社員に、乳幼児期に意外にかかったこと・案外かからなかったことをインタビューしました。

意外にかかったこと

子供が赤ちゃんの間は大人たちの分だけで済んだのに、4歳を過ぎたあたりから子供分の入園料などもかかるように。最近行ったテーマパークは入園料も値上がりしたうえ、並ぶ時間を短縮するためのチケットは大人と同じ料金がかかってしまいました。子供がどうしても乗りたいというアトラクション1つだけ泣く泣く支払いましたが…
飛行機代も2~3歳から料金がかかるところが多いです。小さい子供を連れた旅行は長時間じっとしていることができず移動時間が大変なので、飛行機に乗りたいけど、お金がかかるから葛藤です…
3歳くらいからできることが増えてきて、習い事なども通わせてあげたいなと思うようになりました。一人目の時は前のめりに色々手を出したりして、習い事代が負担になりました。

案外かからなかったこと

小さい頃の洋服はきれいな状態のままサイズアウトするものも多いけれど、知り合いからおさがりをもらえる機会がよくあり、助かりました!
乳幼児医療証のおかげで、子供が手術をして2週間入院してもほとんどお金がかからなかったです!
医療費だけでなくお薬代もかからないので、保湿クリームは皮膚科で処方してもらいました。保湿クリームって消耗品で定期的に購入すると高額になるので助かりました。
子供が大きくなって感じるのは、小学校に入るまでお金は本当にかからなかった。その後に塾や習い事などの負担がいろいろあるので、この時期のうちに資産形成をはじめておけばよかったと後から感じます。

乳幼児期は子育て支援制度が充実しているおかげで、医療費の助成制度や幼児教育・保育の無償化の対象となり、大きな負担がかからない時期かもしれません。
負担が少ないうちに、将来かかる費用を今から資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。コラム「児童手当を将来の教育資金として活用できる?」では、今回ご紹介した児童手当を積立投資した場合のシミュレーションをご覧いただけます。