青年前期(中学生)

徹底分析!子育てのお金
~子供の世代別 意外にかかること、案外かからないこと~

このコラムでは、青年前期(中学生)に必要なお金や子供に渡すお小遣いなどについて説明します。想定以上にお金が必要なことや、案外かからないことに気づくかもしれません。
中学生までは義務教育が続きます。学習にかかる費用などについてもご紹介していきます。

中学校3年間でかかる学習費総額は?

中学校3年間でかかる学習費総額は公立で約162万円、私立で約430万円とのことです。公立中学校の学習費総額は約54万円/年となっており、小学校の学習費総額約35万円/年に比べて1年にかかる負担は増えるようです。学習費の内訳は以下の通りです。

公立中学校学習費総額の内訳(年額)

学校教育費 132,349円
学校給食費 37,670円
学校外活動費 368,780円

令和3年度の年額

(出所)文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」()を基に野村アセットマネジメント作成

学校外の活動でかかる費用は?

公立中学校に通う子供の学習費総額の7割弱は学校外の活動でかかっている費用のようです。全学年の平均では学習塾や通信教育などの補助学習費が約30.3万円、スポーツ・芸術などにかける費用が約6.6万円と学習塾や通信教育などにあてる金額が高い傾向にあります。
また、公立中学校に通う子供の約3割が学習塾への支出が0円ですが、学習塾への支出がある方においては年間で平均36万円程度かかっているようです。月間にすると30,000円程度学習塾費の支出があるということになります。また、私立中学生が学習塾に通う場合の支出の平均が約33万円ですので、公立中学生が学習塾に通う場合には私立中学生以上の費用をかけているということになります。

(出所)文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」(

お小遣いの相場は?

中学生全体の毎月のお小遣いの平均額は1,700円程度のようです。学年別でみると中学1年生の平均は約1,380円、2年生が1,568円、3年生が2,112円と学年が上がるにつれてお小遣いも増える傾向にあります。ただ、お小遣い制をとっていない家庭も約4割弱あります。コラム「教育資金・投資教育ってどうしてる?(中・高・大学生/後編)」では、中・高・大学生の子供を持つ野村アセットマネジメント社員に、お小遣いの渡し方や、子供と一緒に資産運用をどのように考えているかなどをインタビューしています。お小遣い制でない家庭がどのようにしているのかなども話されています。また、動画シリーズ「【小学生にもわかる!】資産運用のレッスン」では、株式や債券、投資信託がどのようなものなのか気軽に学べるので、親子で一緒に見ながら、資産運用の話をしてみてはいかがでしょうか。

(出所)学研教育総合研究所(Gakken)「中学生白書(2020年)」

スマートフォンの利用率は?

中学生のインターネット利用率99%、そのうちスマートフォンを利用している比率が約78%と中学生になるとスマートフォンの利用率が大きく上がります。大人の所有分だけでなく、子供の分まで月々の利用料金が発生するということになります。スマートフォンの契約は学割が適用されることもありますが、大人と同じ料金プランの場合もあるようです。中学生になってスマートフォンを初めて持つ子供も多いので、フィルター機能を上手に使って、使い過ぎを防いだり勝手な課金をしないように制限をかけたりする必要もあるでしょう。また、自分専用の端末を持つことでずっとゲームをやってしまう、ということにならないよう、保護者とのルールをあらかじめ作っておくことも必要になりそうです。

(出所)内閣府「令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」(

将来なりたい職業は?

中学生の将来なりたい職業は1位が会社員という結果でした。

将来なりたい職業ランキング(全体)

1位 会社員 4.2%
2位 学校の教師・先生 2.8%
3位 看護師 2.7%
3位 エンジニア・技術者 2.7%
3位 公務員 2.7%
  わからない 50%

(出所)学研教育総合研究所(Gakken)「中学生白書(2020年)」を基に野村アセットマネジメント作成

男女別に見ると、男の子は全ての学年で会社員がトップでした。また、技術者やプログラマーなどエンジニア系の職業が人気のようです。女の子は全学年で看護師が人気でした。ほかにもパティシエや美容師、教師や保育士などが各学年で幅広くランクインしているようです。
小学生を対象とした調査では、パティシエやYouTuberなどのネット配信者、プロサッカー選手などが上位にきていましたが、中学生になると上位もだいぶ入れ替わっています。
一方で中学生は「わからない」という回答が半数と小学生の回答率よりも増えています。将来の夢を考え始めるからこそ、まだ答えは見つかっていないという可能性もあります。
本格的に決めるのはもう少し後になるかもしれませんが、やりたいことやなりたい職業によって進路が変わることもあるので、学年が上がるにつれて一緒に考えていくようになるのかもしれません。

(出所)学研教育総合研究所(Gakken)「中学生白書(2020年)」「小学生白書(2022年)」

【インタビュー】青年前期(中学生)に意外にかかったこと・案外かからなかったこと

実際に子育てをしている野村アセットマネジメントの社員に、青年前期(中学生)に意外にかかったこと・案外かからなかったことをインタビューしました。

意外にかかったこと

実家への帰省や旅行はお金がかかるようになりました。中学生からは大人と同じ正規価格となるので、家族全員で移動する時は負担が大きいです。
学習塾の費用は、小学校の習い事の金額と比べると費用負担が大きかったです。夏期講習や冬期講習などは追加で費用が発生する場合もあり、受験が近づくにつれて負担が増えていきました。
娘がいます。少しずつおしゃれに敏感になって、発表会の衣装などもこだわりが強くなってきました。お洋服やアクセサリー、お部屋に置くもの、全てを与えることはしませんが、何かを頑張ったご褒美に買ってあげたりすると想定外の出費ですね。
中学生は育ち盛りで、うちは特に男の子なのでよく食べます。食費が急に上がったような気がしました。ご飯を炊いても炊いてもすぐに空っぽになります。

案外かからなかったこと

習い事はオンラインレッスンなども利用できるようになり、費用を抑えることができた気がします。宿題などが忙しい時も、オンラインレッスンだと移動時間を考えなくて済むので便利になったなと感じます。また、従来の月謝制ではない習い事などもあり、自分が子供の頃とは違って、費用を抑えつつ選択肢も広がっていると感じます。
子供の部活動が始まると週末は応援などであっという間に終わります。近所のグラウンドに自転車で見に行って帰る生活を繰り返してると出費することなく充実して1日が終わります。
東京都や大阪市などでは塾代の貸付事業や補助制度を採用する自治体もあるみたいです。※1 制度は自治体によって違うので、自分の住んでる地域でどんな制度があるのか見てみるのは重要ですね。うまく制度を使えば、負担を抑えることができるかもしれませんね。

※1(出所)東京都福祉保健局()、大阪市習い事・塾代助成事業()。いずれも一定の要件がありますので、詳細は各自治体HP等でご確認ください。

青年前期(中学生)はまず公立か私立かによって大きな費用の差があります。学習塾に通う子供が増える傾向があり、学習塾については進学が近くになるにつれて費用の負担は大きくなりそうです。得意なことは人それぞれですが、中学を卒業すると義務教育が終わるので、自分の意志でも進路を考えるようになる子も増えるでしょう。とはいえ、まだ保護者のサポートが必要な時期ですので一緒に考えることで、今後必要になるお金についても想定し、ライフプランを立ててみてはいかがでしょうか