1970年代ってどんな時代?(日本編)

歴史から学ぶ資産運用

おじいちゃんにインタビュー!1970年代の日本ってどんな時代?

日々、様々なニュースが市場環境に影響を与えています。過去の出来事が市場にどのような影響を与えてきたのか、歴史を知ることで、資産運用のヒントになるかもしれません。
日本人とアメリカ人の両親から生まれた「私」は、日本とアメリカに住む祖父がいます。日本人の祖父には日本の歴史、アメリカ人の祖父にはアメリカの歴史、それぞれに話を聞いてみることにしました。
今回は日本人の祖父から1970年代の日本について聞いていきます。

登場人物

  • 私:18歳(2005年生まれ)

    私:18歳(2005年生まれ)

  • 日本人のおじいちゃん:73歳(1950年生まれ)

    日本人のおじいちゃん:73歳(1950年生まれ)

日本の1970年代の出来事について教えて

日経平均株価と米ドル/円レート※1の推移

期間:1969年12月末~1979年12月末、月次

日経平均株価と米ドル/円レートの推移の図

※1米ドル/円レートは1973年1月末~1979年12月末、17時時点。

(出所)ブルームバーグ、日本銀行のデータを基に野村アセットマネジメント作成

私ね、最近18歳になってもう成人なんだよ!おじいちゃんの頃の成人年齢は20歳だよね?おじいちゃんが成人になったのは1970年か。その頃の日本ってどんなことがあったの?
おじいちゃんが20歳になった1970年には、日本で初めての万博が大阪で開催されたんだよ。おじいちゃんも行ったけどほんとにすごかった!6,400万人を超える来場者数だったんだ。国内からの来場者がほとんどで、当時の日本の人口が約1億400万人※2だったから、だいたい国民の2人に1人は万博に行った計算になるね。

※2沖縄は含みません。(出所)総務省「国勢調査」(

そんなに!万博ってどんなイベントだったの?楽しかった?
万博はいろんな展示会場があって、おじいちゃんが見たものは、携帯電話、電気自動車、リニアモーターカーとかだったなぁ。当時はまだ現実のものとは思えなかったけど、今では携帯電話は生活の中で当たり前の存在になってるし、電気自動車も珍しくなくなったね。リニア新幹線もいよいよ開業に向けて準備が進んでるしね。早く乗ってみたいなぁ。
リニアモーターカーって50年前にはもう出来上がっていたものなんだね。そういえば、2025年にもまた大阪・関西万博が開催されるんだよね!今度の万博でもきっとすごいテクノロジーなどが公開されるんだろうね!大阪・関西万博の基本入場料は大人1人7,500円※3になるらしいよ。

※3会期中販売チケット(一日券)

おじいちゃんが行った時の万博の入場料は大人800円だったよ。
昔はそんなに安かったの!?
当時の800円を現在の貨幣価値に換算すると2,600円※4くらいなんだって。

※4(出所)総務省統計局「2020年基準消費者物価指数」()より2022年時点のデータを基に野村アセットマネジメント計算

そう考えると、今度の万博の入場料はすごく値上がりしているんだね!
おじいちゃんが働き出した時、日本は高度経済成長期だったから給料も物価もどんどん上がるインフレの時代だったんだ。それに、金利が年率5.75%※5もあったんだよ!1970年から1979年まで銀行預金に預けていたら100万円が約169万円※6にもなった。今となっては考えられないね。

※51970年12月末時点。定期預金/1年の場合。(出所)野村総合研究所SuperFocus

※61970年12月末~1979年12月末において、各年末の金利で預けたと仮定した場合。過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)野村総合研究所SuperFocusのデータを基に野村アセットマネジメント計算

今の金利は0.005%※7だから1,000倍以上!?私、子供の頃から預貯金に預けていても金利でお金が増えたという実感はなかったけど、昔は違ったんだね。

※72023年9月末時点。定期預金/1年の場合。(出所)日本銀行

インフレといえば、その後の1973年からのオイルショックによる影響はすごかったよ。
オイルショックって授業で聞いたことがある!トイレットペーパーとかが全然買えなくなっちゃったんだよね。
そうそう。オイルショックは第4次中東戦争が始まったことが原因の一つだね。その影響で原油価格が引き上げられて、高度経済成長期だった日本にとっては、影響がすごく大きかった。1974年の日本の物価は前年に比べて25%※8近く上昇して、インフレを抑えるために金利を引き上げる政策がとられたんだ。そして、戦後初めてのマイナス成長になって、高度経済成長が終わったといわれているんだよ。

※8(出所)総務省統計局「2020年基準消費者物価指数」(

トイレットペーパーが買えなくなってしまったのはなんで?
「石油が供給されなくなれば物資が不足するのではないか」という不安によって、トイレットペーパーを買い占める人が増えたんだ。いろいろな原因があるだろうけど、不安感からの過剰な買い占めが要因の一つといわれているよ。世の中がパニックになってしまったんだね。トイレットペーパーもだし、砂糖、塩、洗剤とかの日用品も行列に並んで買ったことを覚えているな。
少し前にも同じようなことがあったね。新型コロナウィルスの感染が拡大した時に、世界中でマスクや消毒用のアルコールが全然手に入らなくなったよね。予想外の状況になった時に、パニックになって冷静じゃない消費行動をとってしまうのは、50年前と変わらないね。
2022年はロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまったことで、当時と同じように様々なモノの価格が上昇したよね。ガソリン価格も高くなったし、その2ヵ国は穀物大国だから小麦の供給不安から世界的に値段が押し上げられて、物価上昇が進んだ年になったね。日本は資源や食料を輸入に頼る国だから、私たちの生活にも直結してインフレを感じることになったよね。日本がインフレになったのは為替が円安になった影響も大きかったんだろうな。為替といえば、1970年時点では日本の円相場は1米ドル=360円で固定されていたのを知ってる?
えっ!為替ってずっと動いてるんだと思ってた。1米ドル=360円だなんて今に比べるとだいぶ円安な状態で固定されてたんだね。
戦後、GHQが1米ドル=360円と決めたんだ。でも、1971年のニクソン・ショックをきっかけに、日本は1973年に変動相場制に移行していったんだよ。
変動相場制になったことによる影響ってどんなことがあったの?
1米ドル=300円前後から1米ドル=180円前後まで円高が進んだんだ。円高の影響で、輸出関連の企業は一時的に厳しい状態になったね。でも、変動相場制への移行によって、海外とのお金の移動が自由になっていったことで世界貿易が拡大し、日本の輸出も増えたんだ。だから日本のGDPの中で輸出が占める割合はどんどん大きくなっていったんだよ。
為替って難しいよね。学校が休みになったら、海外旅行にも行きたいと思っているの。旅行する時に今より円高になっていると、外貨に換えるのが有利になるってことだよね。
そうだね。逆にすでに外貨を持っている場合は円高になった時に円に換えると不利になるね。日本人にとっては、外貨を買った時よりも円安になった時に外貨を売ると利益が出るということだね。
すぐ忘れがちだけど、外国の資産で資産運用をする時には為替って大事なことだよね。1970年代はおじいちゃんにとってどんな時代だった?
おじいちゃんが生まれたのは1950年。団塊の世代といってたくさん子供が生まれた時代だったんだ。だから同年代の仲間がいっぱいいた。1970年代はそんな仲間たちと働き始めて、日本がどんどん成長していくような感覚があったな。3Cといわれるカラーテレビ、クーラー、カー(車)を手に入れる人が増えて、日本が少しずつ豊かになっていくことを実感し始めたね。でも、その一方で光化学スモッグの発生や自動車の排気ガスによる大気汚染も問題になった。その頃の高度経済成長は目まぐるしかったけど、その結果、環境問題にも取り組まなければならないということで環境庁も発足されたんだよ。
そうなんだね。環境問題は現在もESGやSDGsの意識が強くなっていってるし、大事な問題だよね。
今は当時以上に、環境問題に取り組まない企業は、時代と逆走しているという評価をされがちだね。
おじいちゃんと話すことで昔と今の出来事に共通点があるのが分かって、とても勉強になったよ。1980年代以降についてもいろいろ教えて欲しいな。

まとめ

1970年   現在
1970年大阪万博
800円(大人23歳以上)
万博の入場料(大人) 2025年大阪・関西万博
7,500円(大人18歳以上)
5.75% 金利(定期預金/1年)※9 0.005%
1,987.14円 日経平均株価※9 31,857.62円
1米ドル=360円
(固定相場制)
為替※9 1米ドル=148.77円

※91970年は1970年12月末時点、現在は2023年9月末時点、為替は17時時点。

(出所)ブルームバーグ、野村総合研究所SuperFocus、日本銀行のデータを基に野村アセットマネジメント作成