投資信託70年以上の歴史から学ぶ、資産形成の考え方

歴史から学ぶ資産運用

おじいちゃんにインタビュー!投資信託70年以上の歴史から学ぶ、資産形成の考え方

登場人物

  • 私:21歳(2005年生まれ)

    私:21歳(2005年生まれ)

  • 日本人のおじいちゃん:76歳(1950年生まれ)

    日本人のおじいちゃん:76歳(1950年生まれ)

おじいちゃん、NISAをきっかけに投資について調べているんだけど、投資信託っていろいろな種類があって迷うね。そもそも、どうして投資信託が資産形成に使われるようになった?

NISAは、個人投資家のための税制優遇制度です。通常、投資信託などの金融商品に投資した場合、売却益や受け取った分配金には課税されます。一方、NISA口座で得られた売却益や分配金については、非課税となります。

いいところに気づいたね。日本の投資信託制度は1951年に始まり、70年以上にわたって、経済や人々の暮らしの変化に合わせながら、商品や運用の選択肢を広げてきたんだよ。
そんなに前からあったんだ。最近、スマートフォンで買えるようになって投資信託を利用する人が増えたものだと思っていたよ。1951年頃って、どんな時代だったの?
日本が戦後の復興を進めていた時代だよ。今のように手軽に投資できる環境が整ったのは比較的最近だけれど、積立投資や海外への分散投資、インデックスファンド、ETFなど、今では身近になった投資の方法や商品も、それぞれの時代の課題やニーズに応じて発展してきたんだ。金融機関は商品やサービスの提供を通じて、国は制度の整備を通じて、個人の資産形成を支えてきたんだよ。
投資信託の歴史を知ると、今の資産形成もわかるようになるの?
そうだね。この70年以上の間には、経済成長もあれば、大きな危機もあった。その時々の出来事とともに、投資信託がどのように活用され、選択肢が広がってきたのかを振り返ってみようか。

1960年代 東京オリンピックと「豊かさ」への夢
―投資信託が、個人の資産形成の選択肢を広げた時代―

おじいちゃんが若かった頃は、どんな時代だったの?
日本が大きく変わっていった時代だよ。1964年には東京オリンピックが開催され、同じ年に東海道新幹線が開業した。テレビや冷蔵庫、洗濯機も家庭に普及し、多くの人が『もっと豊かになろう』と前を向いていたんだ。
投資信託も、その頃に始まったの?
日本の投資信託は、それより少し前の1951年に、単位型株式投資信託からスタートしたんだ。単位型というのは、最初に一定の期間だけお金を募集して、その後は追加の募集をせずに運用する仕組みだよ。
そこから、どんなふうに変わっていったの?
1952年には、追加型株式投資信託もスタートしたんだ。単位型と違って、運用が始まってからも追加で購入できる仕組みだね。さらに、1961年には公社債投資信託も登場した。投資する人の目的に応じて、商品の選択肢が広がっていったんだよ。
でも、どうして投資信託が必要だったの? 自分で株式や債券を選ぶのは、楽しそうだけど。
一人でたくさんの企業を調べたり、投資先を分散したりするのは大変だろう?投資信託は、一人では難しい複数の投資先への分散投資や、専門家の知見を生かした運用に、比較的少額から取り組める仕組みなんだ。
一人では難しいことを、みんなのお金をまとめて可能にするんだね。
その通り。少額からでも、商品に応じて複数の銘柄や資産に分散投資できる。一人では行いにくい分散投資に取り組みやすくなることは、投資信託の大切な役割の一つなんだよ。

今につながる、投資信託の歩み

1951年に始まった日本の投資信託。その後も、商品の種類や投資先、資産形成を支える制度が広がってきました。今では身近になった積立投資や海外への投資も、こうした歩みとつながっています。

年 投資信託・制度の主な出来事 今の資産形成とのつながり
1951年 投資信託制度が始まり、単位型株式投資信託が登場 多くの人のお金をまとめ、専門家が運用する仕組みの出発点
1952年 追加型株式投資信託が登場 運用開始後も購入できる仕組みにより、購入時期の選択肢が広がる
1961年 公社債投資信託が登場 投資対象などに応じて商品を選ぶ選択肢が広がる
1968年 「積立て株式ファンド」が設定 積立投資は、NISAが始まる前から活用されてきた方法
1970年 投資信託による外国証券への投資が認められる 国内だけでなく、海外にも投資先を広げる選択肢
1980年 インデックスファンドとしての運用開始 指数への連動を目指す運用という選択肢
1995年 日本初のETFが登場 取引所で売買できる投資信託という選択肢
2014年・
2024年
NISAが開始され、2024年には抜本的に拡充・恒久化 投資による利益が非課税になる制度で、資産形成を後押し

※投資信託に関する主な出来事を抜粋しています。

1968年 「積立投資」はNISAよりずっと前から
―無理なく続けるための工夫として生まれた積立投資―

1968年には、日本で初めて積立投資の仕組みを取り入れた『積立て株式ファンド』という投資信託が設定されたんだよ。
えっ、その頃には、もう積立投資のための商品があったの? NISAができてから始まったものだと思っていたよ。
積立投資の考え方は、NISAが始まるずっと前からあったんだ。スマートフォンもネット証券もなかった時代から、『一度に大きなお金を投資するのではなく、少しずつ続ける』という方法が取り入れられていたんだよ。
今の積立投資と、基本的な考え方は似ているんだね。
そうだね。半世紀以上がたった今、長期・積立・分散は、資産形成の基本的な考え方として広く紹介されている。積立投資は、一時的な流行ではなく、長く受け継がれてきた方法の一つなんだ。

1970年代 経済の成長にも転機があると知った時代
―海外への投資という選択肢が広がった―

1970年には大阪万博が開かれたんだよね。ずっと明るい時代が続いたの?
大阪万博では、『人類の進歩と調和』をテーマに、多くの人が未来の暮らしを思い描いた。ところが、1973年には第一次オイルショックが起き、日本経済も大きな影響を受けたんだ。
経済は、いつまでも順調に成長するわけではないんだね。この頃、投資信託にも変化があったの?
1970年には、投資信託による外国証券への投資が認められた。国内だけでなく、海外にも投資する選択肢が広がっていったんだ。これは、現在の分散投資にもつながっているよ。
海外にも投資すれば、国内だけに投資するよりリスクを抑えられるの?
そう単純ではないよ。海外資産への投資では、価格変動に加えて、為替変動や投資先の国・地域の情勢などにも注意が必要だ。大切なのは、自分の目的や受け入れられるリスクに合わせて、『どこに、どのくらい分散するか』を考えることなんだ。

1980年代 インデックスファンドとバブル経済
―時代のニーズに合わせて広がった投資信託の選択肢―

1980年代は、どんな時代だったの? バブル経済も、この頃だよね。
日本企業が世界で存在感を高めた時代だね。携帯型音楽プレーヤーや家庭用ゲーム機などが広まり、日本の家電や自動車も世界で注目されていた。1980年代後半には、株価や土地の価格が大きく上昇したんだ。
投資信託の世界では何があったの?
1980年に、日本初のインデックスファンドの運用が始まった。インデックスファンドは、株価指数などの指標に連動する運用成果を目指す投資信託なんだよ。
最近できたものじゃないんだね
しかも、1968年に設定された『積立て株式ファンド』の運用方針が変更され、インデックスファンドとしての運用が始まったんだ。
もともとあったファンドの運用方針が変わったんだね。
投資信託も、時代のニーズに合わせて変わってきたということだね。商品がいつ生まれたかだけでなく、現在どのような方針で、どのような資産に投資しているのかを確認することが大切だよ。

1990年代 バブル崩壊の中でも生まれた新しい選択肢
―市場の下落を経験し、投資との向き合い方を考えた時代―

バブル経済の後は、どうなったの?
1990年代に入ると、株価や土地価格が大きく下落した。損失を経験して、『投資は怖い』と感じた人もいただろうね。その後、日本では低成長・低金利の時代が長く続くことになったんだ。
投資信託の進化も止まってしまったの?
いや、1995年には、日本初のETFである『日経300株価指数連動型上場投信』が設定・上場された。ETFは、株式のように取引所で売買できる投資信託なんだ。
市場が低迷しているときにも、新しい選択肢が生まれていたんだね。でも、相場が大きく下がったら、不安になりそうだよ。
そう思うのは自然なことだよ。だからこそ、値下がりしたときにどうするか、生活に必要なお金まで投資に回していないか、投資額が自分にとって無理のない水準かも、投資を始める前に確認しておきたいね。

2000年代 投資の選択肢がさらに広がった
―多様な資産に投資できる時代に、選ぶ力が求められるようになった―

2000年代になると、インターネットが普及して、海外の情報も身近になったんだよね。
そうだね。投資の選択肢もさらに広がり、2007年には、金の価格に連動する運用成果を目指す『金価格連動型上場投信』が設定・上場されたんだ。
ETFを通じて金にも投資できるんだね。選択肢が多いと、何を選べばいいか迷いそう。
だから、『何に投資するのか』『どんなリスクや費用があるのか』『自分の目的に合っているか』を確認したいね。情報の出どころや根拠を確かめることも大切だよ。投資信託なら、交付目論見書などで投資対象や運用方針、費用を確認することも役立つよ。
人気ランキングや、過去の運用成績だけで選ばない方がいいんだね
その通り。過去の実績は、将来の運用成果を保証するものではないからね

2008年 リーマン・ショックが教えたこと
―未来を当てようとするのではなく、変化に備える―

2008年にはリーマン・ショックが起きたんだよね。
世界の金融市場が大きく揺れ、各国の株価も大幅に下落した。多くの投資家が損失を経験したよ。
やっぱり、投資にはリスクがあるんだね。どう向き合えばいいの?
将来の相場を当て続けるのは、とても難しい。だから、自分の目的や投資できる期間に合わせて、長期で考えること、投資する時期や投資先を分散することを取り入れていくんだ。ただし、長期・積立・分散を実践しても、損失の可能性がなくなるわけではないし、投資元本が保証されるわけでもないよ。
未来を正確に当てられなくても、備えることはできるんだね。
そう。『10年後、20年後にどのくらいのお金が必要になりそうか』『そのために今から何をするか』は、自分で考えることができるんだ。
資産形成は、相場を当てるゲームではなく、人生の準備なんだね。

2014年から現在へ NISAが資産形成を後押し
―投資信託と制度の変化から考える、資産形成の選択肢―

NISAは、いつ始まったの?
2014年だよ。個人の資産形成を後押しする税制上の制度として始まった。その後、2018年にはつみたてNISAが始まり、2024年には制度が大きく拡充されたんだ。
2024年からは、何が変わったの?
非課税保有期間が無期限になり、制度も恒久化された。つみたて投資枠と成長投資枠も併用できるようになったんだ。こうした制度の整備も、今の資産形成の環境につながっているんだよ。
NISAを使えば、安心して利益を得られるの?
そこは誤解してはいけない。NISAは利益を保証する制度ではなく、NISA口座で得られた対象商品の売却益や分配金などが非課税となる制度だよ。NISAを利用しても、投資そのもののリスクがなくなるわけではないんだ。
まず自分に合った資産形成を考えて、そのためにNISAを活用するんだね
その通り。今では少額から購入できる投資信託もあるけれど、誰もがすぐに投資を始めるべきだということではない。まずは生活に必要なお金を確保することが大切だよ。近いうちに使う予定のお金や、急な出費に備えるお金まで投資に回さないようにしようね。

これからの未来へ
―変わる時代の中でも、変わらない資産形成の考え方―

70年以上の歴史を振り返ると、投資信託も世の中と一緒に変わってきたんだね
これからも制度や技術、商品は変わるだろう。でも、自分の目的に合った方法で、無理なく将来に備えることは変わらず大切だよ。預貯金や投資信託などをどう組み合わせ、NISAをどう活用するか、自分に合った方法を考えていけばいいんだ
未来を正確に当てられなくても、今できる準備はあるんだね。まずは、自分がどんな未来のためにお金を準備したいのか、考えてみるよ
それが資産形成の第一歩だね。その答えは、人によって違っていいんだよ。

投資信託の歴史から学べる5つのこと

①未来を「当てる」より「備える」

将来の相場を正確に予測することは困難です。値下がりしても生活に困らないよう、預貯金も含めた資産配分と、無理のない投資額を考えましょう。

②「積立」で投資する時期を分散する

定期的な買い付けによって、一度にまとまった金額を投資する場合と比べて、購入時期を分散できます。

③「分散」で一つの投資先に頼りすぎない

複数の資産や地域に分散することで、特定の投資先の値動きが資産全体に与える影響を抑えることが期待できます。

④商品選びより先に、目的を考える

「何のために」「いつ」「いくら必要か」を整理し、投資できる期間や受け入れられるリスクに合った方法を選びましょう。

⑤無理なく続け、必要に応じて見直す

生活費や急な出費に備えるお金、近いうちに使う予定のお金を確保したうえで、続けられる金額と方法を選ぶことが大切です。暮らしや目的が変わったら、計画も見直しましょう。